富士通研究所は2月18日、保守作業などの現場向けにNFC(Near Field Communication)タグリーダとジェスチャ入力機能を備えたグローブ型ウェアラブルデバイスを開発したと発表した。
開発したグローブ型ウェアラブルデバイス |
今回、発表されたのは、作業者への注意喚起や作業場面に合わせた支援情報を、端末を操作することなく提供する、NFCタグリーダとジェスチャ入力機能を備えたグローブ型ウェアラブルデバイス。
同デバイスを用いれば、作業対象物に貼り付けたNFCタグを指先でタッチすることで関連する情報を提示することが可能になり、また、ジャイロセンサーと加速度センサーを手首に搭載することでジェスチャ認識を実現した。
グローブ型ウェアラブルデバイスを使った作業支援 |
「ウェアラブルデバイスの電力制御技術」では、指先に接触センサーを搭載し、タッチした瞬間だけNFCタグリーダを起動することで低消費電力を実現。これにより、グローブ型ウェアラブルデバイスの動作時間を電力制御しない場合の3時間から9時間に延ばすことが可能となった。
「ジェスチャ認識技術」では、通常の作業中にはほとんど表れない、手の甲を反らせる「背屈」という姿勢に着目し、この姿勢をきっかけに動作することで、通常の腕の動きとジェスチャとを区別した。
また、肩関節を原点とする座標を設定しジェスチャを定義し、これにより動きの個人差を吸収し、ジェスチャを様々な姿勢から入力することができる。
なお、社内実験では、6パターン(上、下、左、右、右旋回、左旋回)のジェスチャを98%認識できることを確認し、これらのジェスチャは、例えば、左右の動きでヘッドマウントディスプレイ上に表示されたマニュアルのページをめくり、上下の動きで表示のスクロールを操作することが可能。
また、作業状態の入力のシーンでは右旋回ならば異常なし、左旋回ならば異常ありを入力する使い方ができる。
同社では、今回開発したグローブ型ウェアラブルデバイスを用いれば、例えば、作業対象にタッチしてその対象に関する作業指示を入手し、簡単なジェスチャで作業結果を入力するようなソリューションが構築できるとしている。
富士通研究所では、実証実験などを経て、2015年度中の実用化を目指すという。