ルネサス エレクトロニクスは2月18日、回路線幅に28nmプロセスを採用したマイコン内蔵用フラッシュメモリIPを開発したと発表した。
内蔵用フラッシュメモリは今後、マイコンによる制御の高度化により、40nmプロセス技術で実現可能な最大容量8MBを超える10MBクラスが必要になることが予想されており、そうした大容量化ニーズに対応する必要が求められていた。同社ではそうしたニーズへの対応として、従来品の40nmプロセスよりも微細な28nmプロセスの試作開発を行ってきており、今回、28nmを用いた試作チップにて160MHzの高速読み出し、20年のデータ保持時間、25万回の書き換え回数(データ保存用の場合)を達成したという。プロセスの微細化が進むにつれ、内蔵用フラッシュメモリの性能・信頼性を維持することは困難になってきているが、従来プロセスでも使用してきたMONOS構造フラッシュメモリのスケーラビリティを生かすことで実現できたという。
今回の技術を用いた28nmフラッシュマイコンを製品化した場合、最大容量が16MB以上のフラッシュメモリを1チップに搭載可能となるほか、微細化効果により、ロジック部分は高速かつ低消費電力なトランジスタを40nm比で約2倍内蔵できるのに加え、マルチCPUコアへの対応、機能安全への対応や、セキュリティ、複数規格のインタフェースを搭載したマイコンなどが開発可能となり、自動車の電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)の統合も可能になるという。また、ADAS(Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム)分野では、3次元レーダへの対応が可能となるため、自動車の安全性向上を図ることができるほか、パワートレイン分野では、燃料噴射に必要なマッピングデータの増加とデータ処理能力の向上による細やかな燃料噴射と点火が可能となるため、自動車の燃費向上だけでなく環境やエネルギー問題にも寄与するとしている。