沖縄クロス・ヘッドの本社があるビル

沖縄県那覇市に本社を置く沖縄クロス・ヘッドは、県内のIT関連企業を中心にSI支援やネットワーク・エンジニア派遣、24時間365日の運用監視サービスを行っているほか、自社開発した独自のクラウドサービスを全国のあらゆる業種の企業を対象に提供している。

SaaSの「CUMO app suite」の顧客が約450社、IaaSの「CUMO platform」の顧客は約360社で、4,500台もの仮想サーバを提供。また、通信事業者として沖縄の地理的特質を生かしたアジア地域向けの通信回線の運用も手がけており、香港と直結したGIX(Global IX)は、日本とアジア各地の拠点を結ぶハブとしてグローバル企業に活用されている。

システムの導入支援から運用監視サービスまでをワンストップで提供する同社では、これまで培った豊富な経験・ノウハウを生かし、2013年3月よりバリオセキュアの次世代UTM「VCR(Vario Communicate Router)」の取り扱いを開始した。専用のテクニカルサポートデスクを設けて、設定やサポートを含めたトータルなサービスを、中小企業を中心にワンストップで提供している。

豊富な機能を備えながら、SMBでも十分に手が届く価格体系となっているVCR。販売元・販社・ユーザ企業、以上の観点から合計3回にかけて紹介していく当特集だが、2回目となる本稿では、VCRが実際にどういった企業に導入されているのかを、沖縄クロス・ヘッドのインタビューとともに紹介する。

次世代UTM「VCR(Vario Communicate Router)」。VCRには、ファイアウォールをはじめとして、アプリケーションフィルタ、VPN/SSL VPN、アンチウィルス/アンチスパム、IPS(Intrusion Prevention System)、Webフィルタリング、帯域管理など、多くの機能が搭載されている

記事目次
第1回:今、SMBに人気の多機能UTM「VCR」とは?
第2回:次世代UTM「VCR」によるワンストップサービスを全国に展開
第3回:顧客のセキュリティ向上のためのネットワーク制御を次世代UTMで実現

設定から日々の管理までの手間を省きたいというニーズに対応

沖縄クロス・ヘッド 技術部 運用統括グループ マネージャー 黒沼大祐氏

同社がVCRを取り扱うようになった背景を、技術部 運用統括グループ マネージャーの黒沼大祐氏は、「弊社で取り扱うことのできる統合UTMを模索していたところ、しっかりと丁寧にローカライズされていて価格も手頃なVCRに目が止まりました。特に中小のお客さまの場合、英語表示や価格の高さというのは敬遠されますから、そうしたお客さまにもご提供しやすい製品でもあると判断し、取り扱いを決定しました」と語る。

同社はディストリビュータとして、既に31都道府県の企業にVCRを販売。うち運用監視サービスも合わせて導入している企業が9割以上にものぼっている。

その理由を黒沼氏は、「VCRは簡単に運用管理できる製品ですが、中小のお客さまの場合、設定から日々の管理までのすべての手間を省きたいというニーズが大きいためです」と説明する。

同社の監視サービスは、沖縄県が国内外の情報通信関連産業の一大拠点の形成を目指すビックプロジェクトとしてうるま市に設置した「沖縄IT津梁パーク」にて実施している。

24時間365日体制で運用監視を行う同社のMSPセンター

視覚的なレポートで外部からの攻撃も内部のネットワーク利用実態も把握

沖縄クロス・ヘッドがVCRを販売する顧客には、これまでとりたててセキュリティ対策をしてこなかった企業も多いという。

「中小のお客さまの場合、『何かしなければいけない』とは思っていても、コストや手間、知識などの制約からなかなか手を出せなかったというケースが目立ちます。そんなお客さまにとって、1つ1つ個別のソリューションを導入していく方法では、非常にコストがかかかってしまいます。VCRであれば1台だけで大企業同様のセキュリティ対策が施せますので、そこに魅力を感じていただくことが多いです」と黒沼氏は語る。

VCRの特徴の1つに、視覚的でわかりやすい月次レポートの自動生成機能がある。沖縄クロス・ヘッドでは、この月次レポートの確認を顧客企業の経営者やIT担当者に推奨している。

VCRのレポート機能。左が攻撃レポート、右がWeb利用レポート

「こうしたレポートもVCRでは完全に日本語化されていますので、内容も含めて非常に読みやすいとお客さまから好評をいただいております。このレポートのおかげで、ITやセキュリティに詳しくない経営者の方々にも、その月に、「いつ」「どんな攻撃が」「どのように」あって、「どう防いたのか」が一目瞭然で把握していただけるのです」(黒沼氏)

沖縄クロス・ヘッド 営業部のリーダー、上原亮氏も次のように続ける。

沖縄クロス・ヘッド 営業部のリーダー、上原亮氏

「我々にとっても、お客さまにレポートを見せながら、『ポートスキャンなどによる攻撃の兆候はあったものの、その後に侵入されておらずきちんと防げていますよ』などと具体的に効果を説明できるのは大きなメリットです」

こうした外部からの攻撃を防ぎ、その状況をログで確認できることに加えて、VCRを導入した顧客からの評価が高いのが、社内でのネットワーク利用の実態もログによって把握できる点だ。

こうした外部からの攻撃を防ぎ、その状況をログで確認できることに加えて、VCRを導入した顧客からの評価が高いのが、社内でのネットワーク利用の実態もログによって把握できる点だ。

日常的な社内でのインターネットの利用状況が把握できれば、情報漏洩などの防止策も打ちやすくなる。社員にとっても、どこにアクセスしたのかなどが記録されているとわかれば、自然と業務に適さないネットワーク利用を控えるようになるので、とりたてて何かをしなくてもリスク要因を減らすことができるのだ。

沖縄クロス・ヘッドでは、それぞれの企業の事情に合わせたVCRのポリシー設定もサポート。日々の運用の中で状況が変われば、その都度のポリシー変更などにも応じているという。

「お客さまの情報システム部門の代わりを務められるような体制を整えています」と黒沼氏は強調する。

今後、沖縄クロス・ヘッドでは同社の他の商材とVCRを組み合わせた幅広い商品展開も図っていく構えだ。

「"自社の情報セキュリティをなんとかしたいけれど、何をやればいいのかわからない"というお客さまでも、お電話一本いただければ解決策をご提案いたします」と黒沼氏は自信を込めて語る。

全国に広がる沖縄クロス・ヘッドのサービス網。それは、セキュリティに不安を抱える中小企業にとって、文字通りの"セーフティネット"だと言えるかもしれない。

沖縄クロス・ヘッド

沖縄クロス・ヘッドは、沖縄県内のIT関連企業に対してネットワーク技術サービスを提供するエンジアニアサービスや、沖縄県のデータセンターに設置した自社システム設備を使ったプロダクトサービスの提供を行う。 同社は2010年からオリジナルのクラウドサービス「CUMO」を開始し、クラウド・ホスティング「CUMO platform」や、実績のある様々なアプリケーションをSaaS型で提供する「CUMO appsuite」を展開する。
記事目次
第1回:今、SMBに人気の多機能UTM「VCR」とは?
第2回:次世代UTM「VCR」によるワンストップサービスを全国に展開
第3回:顧客のセキュリティ向上のためのネットワーク制御を次世代UTMで実現

参考記事

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