信州大学は2月13日、新たに構築する造水・水循環システムの研究開発拠点に富士通のスーパーコンピュータシステムを導入すると発表した。

近い将来、世界人口の増加に伴って、豊かな生活環境を形成・維持するために必要な生活用水、工業用水、農業用水の確保が重要な課題となる。この課題の解決を目指して、信州大学を中心に提案した「革新的ナノカーボンなどを用いた造水・水循環システム」の研究開発構想が、2013年3月に文部科学省の「地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業」に、2013年10月には文部科学省および科学技術振興機構(JST)の「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」に採択された。これを受けて、現在、信州大学長野(工学)キャンパス(長野市)内に、研究開発構想の実現・社会実装化のための大規模研究施設の建設を進めている。

同研究施設では、水資源有効活用のためのナノカーボンなどの基盤技術革新と、それらを利用した造水・水循環利用のためのシステム化技術の構築などを行う。これにより、海水や油を含む水など、多様な水源から必要な水を造り出して循環させ、あらゆる人々に十分に供給することにより、世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性への貢献を目指す。

スーパーコンピュータシミュレーションによる造水・水循環システムのろ過工程のイメージ

このナノカーボン膜を開発するため、信州大学では、富士通の「PRIMERGY RX200 S8」によるPCクラスタと「PRIMEHPC FX10」を利用する。これにより、従来は処理性能的に困難だったナノカーボン膜の複雑な解析やシミュレーションが可能となる。さらに、「PRIMEHPC FX10」で利用するアプリケーションは、スーパーコンピュータ「京」との互換性があるため、将来、シミュレーション規模が拡大した際には、スーパーコンピュータ「京」を利用したシミュレーションも合わせて行うことができるとしている。

今回導入するスーパーコンピュータシステムの仕様