NTTとNECは2月12日、4K/60P高精細映像のHEVC(High Efficiency Video Coding)によるリアルタイム圧縮を実現したと発表した。また、これに合わせて、NECは同技術に対応したリアルタイム圧縮装置「VC-8150」の販売を開始するという。
現在、4K/8Kの高精細映像を用いた放送サービスの高度化が計画されている。これまで、4Kの処理画素数はHDの8倍になるなど、映像データが大容量化するため、従来の映像符号化の国際標準規格AVCに対して、約2倍の圧縮性能を持つ、HEVC圧縮の早期実用化が求められていた。一方で、HEVCは多くの演算量を必要とするため、リアルタイム圧縮のためには処理の効率化が必要だった。今回、両社は、長年にわたり培ってきた映像圧縮技術およびノウハウを基に、フルHDを超える高精細映像の高効率圧縮に向けた技術を確立した。
具体的には、NTTは、HEVCの特徴である可変ブロックサイズに適応したフレーム間予測やフレーム内予測におけるハードウェアアルゴリズムを検討してきた。これらの検討を基に、複数のブロックサイズでの探索と広い探索範囲を実現する高い予測効率を持つ動き予測や、映像の特徴を解析した上で事前に予測方向を絞り込むイントラ予測などのハードウェアアルゴリズムを確立し、SoCにて実現可能であるという見通しを得た。
NECは、画像をいくつかのブロックに分割して行う映像圧縮処理において、瞬時に画像を分析して最適なブロック分割を行う最適圧縮パラメータ推定技術を開発。既存の方法のように、想定される全てのブロック分割パターンを試行した上で処理する必要がなくなり、処理量を約1/5に削減し、4K高精細映像のリアルタイム圧縮を実現した。
また、従来の圧縮装置では、4K高精細映像を4領域に分割した画像を各々処理して結合表示していたが、各領域を跨ぐ部分の映像の品質低下が課題だった。これに対し、NECは境界部分の画像劣化を抑える画像境界処理技術を開発。これにより、継ぎ目のない高画質な4K高精細映像圧縮を実現した。
NECは、HEVC圧縮装置の販売を開始し、4月より出荷を開始する。今後4年間で100台の販売を目指すとコメントしている。