レッドハットは2月6日、米Red Hat、Platform Product Marketing、Senior DirectorのMark Coggin氏の来日に伴う記者会見を開催。今年1月にプロジェクトの支援を発表した「CentOS」と「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)の関係、および今年中のリリースが予定されている「RHEL 7」の特長について説明した。
米Red Hat、Platform Product Marketing、Senior DirectorのMark Coggin氏 |
Red HatがCentOSに対する支援を発表したのは1月10日のこと。それからまだ1カ月も経っていないが、RHELのクローンとして開発されてきた同OSへの支援に対してはさまざまな意見があがっており、なかには今後のCentOS開発への影響を懸念するものもある。
Coggin氏は会見の中で、「RHELはRHEL、CentOSはCentOS。開発はあくまで別々のプロダクトとして進んでいくことになる」と説明し、関係者の不安を一蹴。「Red HatがCentOSに対して行うことは、金銭面、スタッフ面、Webサイト面のサポート程度」とコメントした。
CentOSへの支援により、Red Hatが関わるLinuxディストリビューションは、RHEL、Fedora、CentOSの3つになる。Coggin氏はこれらの棲み分けについて、「Fedoraはご存知のとおり、イノベーションを重視したディストリビューション。テスト的に先進的な機能を次々と取り込んでいるが、安定性は十分とは言えない。一方、RHELは、大規模プロジェクトでも導入可能な非常に安定したディストリビューション。しかし、相応のコストが必要になる。CentOSはこれらの中間に位置し、安定性ではRHELに劣るものの、無償で簡単に利用することができる。ニーズに応じて選んでもらえるはず」と説明した。
Coggin氏は、現在β版が公開されているRHEL 7の新機能についても言及。安定性、柔軟性、利便性の3つの側面から以下の6つの変更点に触れた。
- プロファイルを元に最適なパフォーマンス : インストール時にプロファイリングを行い、パフォーマンスチューニングを実行。パフォーマンス監視ツールも刷新
- ファイルシステムの選択 : デフォルトのファイルシステムにXFSを採用。ext4、Brfsもサポートしている
- アプリケーションの分離を軽量化(Linuxコンテナ) : 1つのOS上で複数のプロセスを仮想的に分離して個別に実行できるLinuxコンテナが有効になった
- Windowsとの互換性向上 : Active Directoryのドメイン管理にRHELを直接組み込めるようになった
- より容易なインストールとデプロイ : 新たなインストーラにより導入時間が短縮されたほか、RHEL 6系からのバージョンアップではIn-Placeアップグレードが可能
- OpenLMIを利用したシステム管理 : Linux向けの管理フレームワーク「OpneLMI」(Open Linux Management Infrastructure)に対応。Linux上のさまざまなワークロードを統合管理できるようになった
Coggin氏は、こうした機能群により、これまで以上に導入、運用が容易になることをアピール。スケーラブルで相互運用可能なハイブリッドクラウドのプラットフォームを構築するうえで最適な基盤ソフトウェアであると説明した。