福井大学、メディネット、瀬田クリニックグループの3者は2月6日、手術不能肝細胞がんに対する肝動脈塞栓療法(TAE)と樹状細胞局注療法の併用治療に関する臨床試験を開始することを発表した。

幹細胞がんは肝臓がんの9割を占め、その治療法としては手術療法、TAE、ラジオ波焼灼療法(RFA)などによる局所療法や抗がん剤を用いた化学療法が施行されているが、日本における年間死亡数は3万人を超えており、その数は増加傾向にあるという。

TAEは、肝がんに栄養を送る動脈にカテーテルを挿入し、薬剤注入により血管を塞ぐことで、がん細胞をいわゆる"兵糧攻め"にすることで治療を行う手法であり、今回の臨床試験で用いられる樹状細胞局注療法をTAEと併用する手法は、同臨床試験の研究責任医師でもある福井大学医学部の中本安成教授により研究が行われてきたもの。

2013年に成立した「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」および「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」を踏まえ、瀬田クリニックグループと共同で、手術不能な進行肝がんへの新しい治療法の開発を目的として、TAEの上乗せ効果を狙い、TAEに樹状細胞局注療法を併用した場合の安全性および有効性の評価が行われる。

またメディネットは、瀬田クリニックグループが実施する細胞培養・加工に係る技術を提供し、同試験の支援を行うほか、得られた臨床結果を福井大と瀬田クリニックグループ臨床研究・治験センターが共同で解析、評価を行う形で試験が進められる予定だという。

なおメディネットでは今後、細胞培養・加工のリーディングカンパニーとして、先進医療の承認取得や医師主導治験などをバックアップし、細胞医療の推進を目指していくとしている。