ルネサス エレクトロニクスは2月6日、2014年3月期第3四半期の決算概要を発表した。売上高は前年同期比12.9%増の2156億円、営業損益は前年同期79億円の損失から300億円の黒字へと、経常損益も同111億円の損失から293億円の黒字、そして純損益も同468億円の損失から230億円の黒字へとそれぞれ益転を果たした。
これにより、第1四半期から9カ月累計の業績は、売上高が前年同期比5.3%増の6325億800万円、営業利益は前年同期の312億4000万円の損失から506億6700万円の黒字へ、経常利益も同355億3500万円の損失から432億4400万円の黒字へ、純損益も同1617億2200万円の損失から101億71億円の黒字へとそれぞれ益転を果たした結果となった。
営業損益の改善について同社では、構造改革による固定費削減効果に伴う利益増などもあった結果としており、これにより4四半期連続での黒字確保となった。また四半期純損益は鶴岡工場の資産譲渡にかかる減損など164億円の特別損失を計上したものの、LTEモデム事業の譲渡などによる155億円の特別利益もあったことから230億円の黒字となったとする。
また主力事業である半導体事業の同第3四半期の売上高は、自動車や産業機器向け製品の出荷が季節性の要因による売り上げの落ち込みをカバーした結果、前年同期比17.2%増の2076億円となった。その内訳は、マイコン事業が、汎用向けでエアコンなどの一部の機器向けが好調であったほか、自動車向けが日系メーカー向けを中心に堅調だったことから前年同期比26.2%増となる899億円、アナログ&パワー半導体は、自動車向けがアナログ半導体、パワー半導体ともに堅調を維持したほか、スマートフォン向けに表示ドライバICも堅調となったことから同25.2%増となる724億円となった。ただしSoC事業は、カーナビなどの車載情報機器向けが堅調であったものの、民生向け、PC向けが注力事業への集中や季節性要因による影響もあり、同2.9%減の438億円となった。
なお同社では通期の業績見通しとしては、自動車向けや中小型パネル向け表示ドライバICなどがけん引することから売上高は前年度比4.7%増となる8225億円としている。また営業損益は前年度の232億円の損失から、547億円の黒字へ、経常損益も同269億円の損失から442億円の黒字へと益転を果たすと見ているが、純損益に関しては、早期退職優遇制度の実施や事業・生産構造改革関連などによる748億円の特別損失が計上されることから、218億円の損失となることを見込んでいるとしている。
また、この見通しに対し、半導体の売上高は、前年度比9%の成長を見込んでいるものの、成長事業での売上増の一方で、事業の集中による売り上げの減少により、実態は前年度比数%の減収になるとするほか、営業損益は、構造改革による費用削減効果に加え、円高の是正効果により、改善の傾向ではあるものの、安定して営業利益を計上していくことを目指し、期末費用集中の平準化や戦略事業への集中投資と回収などの課題に取り組んでいくことで、売り上げの増加に依存しないでも、安定した利益を生み出せる体質の実現を目指した取り組みを進めていくとしている。