日本IBMは2月5日、同社が昨年6月に発表したネットワーク全体の管理を仮想化、自動化し、運用負荷やコストを低減するネットワーク・ソフトウェア「IBM Software Defined Network for Virtual Environments(IBM SDN VE)」の新たなラインナップとして、「IBM SDN VE OpenFlow Edition」および「IBM SDN VE KVM Edition」を発表した。

IBM SDN VEファミリー

SDE(Software Defined Environment)を実現するためにIBMが提供するソリューションのひとつが「IBM SDN VE」で、SDEはネットワーク仮想化技術を単一的に管理・制御する統合型SDNアーキテクチャー。これにより、顧客は1つの管理画面でネットワークの構築、OpenFlowスイッチのフロー定義、異なるハイパーバイザー間でのオーバーレイ・ネットワークの構築などを行うことができる。

SDE(Software Defined Environment)

日本IBM システム製品事業本部 x/Pureセールス事業部 事業部長 理事 小林泰子氏

日本IBM システム製品事業本部 x/Pureセールス事業部 事業部長 理事 小林泰子氏は、「最近はさまざまなSoftware Definedが語られているが、インフラだけなく業務処理も含めたSoftware Definedが必要だ。業務に最適なインフラで処理できるようにするのがSDEだ」と語った。

「IBM SDN VE」ではこれまで、VMware環境向けにOverlayコントローラと仮想スイッチを提供する「IBM SDN VE VMware Edition」のみが提供されていた。

「IBM SDN VE VMware Edition」は、CPUのソケット単位の課金で価格は4万8,400円からとなっていたが、「IBM SDN VE OpenFlow Edition」および「IBM SDN VE KVM Edition」は仮想スイッチ単位の課金で、OpenFlow Editionが16万6,400円から、KVM Editionが9万6,900円からとなっている(価格はすべて税別)。

なお、IBMではマイクロソフトのHyper-V向けの製品も検討しているという。

「IBM SDN VE OpenFlow Edition」は、SDNを実現するソフトウェア群をOSS(オープンソース・ソフトウエア)として開発するプロジェクトOpenDaylight (オープンデイライト) の成果をベースにした商用OpenFlowコントローラーで、OpenFlow 1.0に準拠する仮想もしくは物理スイッチを制御する(年内にはOpenFlow 1.3に対応)。

「IBM SDN VE KVM Edition」は、KVMによる仮想化環境において動作する仮想スイッチとKVM用Overlayコントローラーを提供。また、「IBM SDN VE VMware Edition」と組み合わせることで、VMwareとKVMが混在する仮想化環境において、異なるハイパーバイザー間でオーバーレイ・ネットワークの構築、管理が可能になる。この製品はIBMがOpenDaylightに寄贈した分散型オーバーレイ技術であるDOVE(Distributed Overlay Virtual Ethernet)を基に開発している。

また、「IBM SDN VE」には今回新たにVMware Editionを含め、アプリからOverlayコントローラやOpenFlowコントローラを制御するNorthbound APIとして、Unufiledコントローラーを装備。OpenStack Neutron APIに対応し、「IBM SmarterCloud Orchestrator」や一般的なOpenStack準拠のクラウド・コントローラーから仮想ネットワークを管理・制御できる。

「IBM SDN VE」製品アーキテクチャ

Unufiledコントローラー

日本IBM システム製品事業本部 x/Pureセールス事業部 ビジネス開発 部長 瀧谷貴行氏はSDNの要件について「データ転送機能であるデータプレーンの分離によるネットワークの仮想化・プール化ができる、集中制御型コントローラーによる一元管理、上位のアプリケーションと連携可能なOpenなAPIの3つが揃ってSDNだ」と述べた。