Texas Instruments(TI)は2月3日、広いアナログ電源電圧範囲と同相モード電圧範囲を実現した1チャネルSAR型(逐次比較型)A/Dコンバータ(ADC)「ADS8881」ファミリ12品種を発表した。
同ファミリは、100k~1MSPSの高性能、超低消費電力の18/16ビットSAR型ADCで構成されている。高性能試験/計測装置、高精度計量装置、産業オートメーション向けの高精度センサトランスミッタなどのハイエンド機器から、電池駆動型の試験/計測機器や携帯型医療機器までの幅広い用途において、最適なADCを選択できる。
具体的には、ラインナップの大半が、他のデバイスに比べ20倍広い同相入力電圧範囲を有する。これにより、シグナルコンディショニング回路を簡素化するとともに、幅広い経時変化を示す同相モード電圧に対して、システム設計の際に2個の独立センサ信号間の電位差を簡単にデジタル化する。また、アナログ電源電圧範囲は2.7~3.6Vと既存のデバイスに比べ3倍も広く、リチウムイオン電池からの直接の動作が可能。さらに、デジタル電源電圧範囲は1.65~3.6Vとさらに広く、ほとんどのマイコン電源要件に対応する。加えて、1MSPS対応品は、消費電力が1MSPS動作時に5.5mW、10kSPS時に55μWで、携帯型医療機器や、熱に敏感な自動試験機器などのパルス状直流信号計測に最適となっている。この他、12品種全てがピン互換性がある。再設計の際に、製品系列全体で同一のアナログシグナルチェーンの再使用が容易だという。
なお、パッケージは3mm×4.9mmサイズの10ピンMSOP、もしくは3mm角のQFN。価格は、18ビット 1MSPSの「ADS8881」が1000個受注時で19.95ドル。また、パフォーマンス開発キット「ADS8881EVM-PDK」、「ADS8861EVM-PDK」、「ADS8860EVM-PDK」を199ドルで供給中。キットに同梱のハードウェアと、ソフトウェアツール「ADCPro」を使うだけで、デバイス性能の迅速な評価と試験が可能になる。また、「ADS8881」ファミリのフロントエンドシグナルコンディショニング回路を最適化するためのソフトウェアシミュレーションであるIBISとTINA-TIモデルも供給している。