Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは1月28日、化学分析分野向けに誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)「Agilent 7900」およびマイクロ波プラズマ原子発光分光分析装置(MP-MES)「Agilent 4200」の2種類の元素分析装置を発表した。
7900 ICP-MSは、真空システムなどの機能を向上させたことによりS/N比を従来機と比べ10倍向上させることに成功。また、「High Matrix Introduction(HMI:超高マトリクス導入)」技術の採用により、マトリクス耐性を同10倍向上。これにより、最大25%の濃度の飽和食塩水の直接分析が可能となった。さらに、検出システム(ODS:Orthogonal Detector System)の性能向上などによりダイナミックレンジの10倍向上も実現。これにより、微量なものから高濃度まで一度の検査で検出することを可能とした。
加えて、ソフトウェア面として、直感的なユーザインタフェースを採用したほか、対話型のメソッドセットアップ機能により、不慣れなユーザーであってもいくつかの質問に答えるだけで自動的にメソッドができるようになったという。このほか、iOS端末のモバイル端末でのモニターにも対応。遠隔地に居ながらにしてモニタリングを行うことが可能となった。
同社では、高マトリックス耐性化を果たしたことで、従来の製薬や半導体などの分野に加え、鉄鋼・非鉄分野や、石油関連での活用も期待できるようになったと説明している。
一方の4200 MP-AESは、可燃性ガスを用いずに大気中の窒素をプラズマして用いることで安全性を向上させた従来機のバージョンアップ版。今回、マイクロ波を生成する導波管を新型にするなどの改良を施したほか、ガスコントロールや分光器などにも改良を施すことで、より濃いサンプルの投入を可能とした。これにより、従来希釈する必要があったサンプルであっても、希釈なしで分析を行うことが可能となったという。
なお価格と初年度販売目標は、7900 ICP-MSが2500万円(税別)で150台、4200 MP-AESが600万円(税別)で30台となっており、即日受注を開始、出荷は2014年2月中旬からを予定しているという。