横浜市立大学(横浜市大)は1月27日、iPS細胞からヒト肝臓原基を試験管内で誘導する方法、およびそれらを移植することにより機能的な臓器を得る方法に至るまでのプロトコルを詳細に記述し、さらに新たな移植部位やその詳細な手技を検討することにより、最適な移植手法を見出すことに成功したと発表した。
成果は、横浜市大 大学院医学研究科 臓器再生医学の武部貴則准教授、同・谷口英樹教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、1月24日付けで「Nature Protocols」にオンライン掲載された。
研究チームはこれまでの研究で、試験管内においてヒトiPS細胞から立体的な肝臓の原基(肝臓の種、肝芽的なもの:画像1)が自律的に誘導できること、さらにこのヒト肝臓の原基を生体内へ移植するとヒト血管網を持つ機能的な肝臓へと成長し、最終的に治療効果が発揮されることを明らかにしている。
研究チームは今回、iPS細胞からヒト肝臓原基を試験管内で誘導する方法と、それらを移植することにより機能的な臓器を得る方法に至るまでのプロトコルを詳細に記述した。プロトコルは、誰もが同じ実験を確実に実行するために、実験の手順や条件などをまとめて記述した記録のことである。さらに新たな移植部位やその詳細な手技を検討することにより、最適な移植手法を見出すことにも成功した(画像2)。
今後、今回の研究チームにおける再生医療研究が加速するのみならず、国内外の多くの研究者が本技術を利用することにより、iPS細胞を用いた臓器再生研究がますます広がることが強く期待されるとしている。