兵庫県立人と自然の博物館は1月26日、同県洲本市由良町(淡路島)に分布する和泉層群北阿万層(白亜紀後期:前期Maastrichtian)からウミガメ類の完全な頭骨を含む体骨格化石を発見したと発表した。

今回発見された化石は、形態的特徴から日本固有の絶滅種であるオサガメ科の「Mesodermochelys undulatus」と考えられるという。同種のこれほど完全な頭骨の発見は初めてであり、白亜紀当時のウミガメ類の系統進化や古生態、とりわけ同種が属するオサガメ科の起源を考察する上でまたとない貴重な資料とした。

産出した化石は、頭骨を含む体骨格化石2点で、第1標本(画像1)は甲長約80cm(頭骨の高さ110mm、幅は推定188mm)、第2標本(画像2)は甲長約50cm(頭骨の長さ160mm、高さ76mm、幅104mm)とそれぞれ推定されている。

画像1。第1標本

画像2。第2標本

発見経緯は、同館の地域研究員である岸本眞五氏によって、淡路島由良町に分布する和泉層群より頭骨後半部を含む骨格化石、また2009年には松本浩司氏によって同層からほぼ完全な頭骨と下顎を含む体骨格化石が発見された。

ほかの地域から産出しているMesodermochelys属としては、北海道ならむかわ町、中川町、苫前町の函淵層群・蝦夷層群(後期白亜紀)から下顎を含むほぼ全身骨格が、香川県の和泉層群(後期白亜紀)からは甲羅、四肢骨などが、そして同じ兵庫県の和泉層群(後期白亜紀)からは完全な頭骨や甲羅、四肢骨などがある。

なお今回発見された化石は、同館3階トピックスコーナーにおいて、2月9日(日)から4月6日(日)まで展示される予定だ。