北海道大学(北大)、太宝電子、アキュセラの3者は1月24日、「晩発性放射線障害予防」を目的として、光ファイバの先端に極微小プラスチックシンチレータを取り付けた形の、単純な構造を活かしたX線透視画像に写らない線量計「MIDSOF」を共同で開発したと発表した。

成果は、北大大学院 医学研究科の石川正純 教授らの研究チームによるもの。なおMIDSOFは1月からアクロバイオより販売される予定だ。

近年、X線透視による重篤な皮膚障害が多発し、X線透視における被曝防護への関心が高まっている。しかし、これまで使用されている線量計では、金属を使用していることが多く、線量計がX線透視画像に写りこむため、診断や治療の妨げになっていた。

MIDSOFは、検出部全体がプラスチックで構成されているため、X線透視像にまったく写らないという特徴を持っており、長時間のX線透視を必要とする心筋梗塞・脳梗塞などの血管内治療において、患者の被曝線量をリアルタイムで計測することで、将来的な皮膚障害の可能性を低減できるのが大きな特徴だ。

MIDSOFは検出部に放射線を受けると発光する極微小プラスチックシンチレータを使用し、プラスチック製の光ファイバで測定部まで導いたあと、光の量を電気信号に変換して、線量値としての計測を行う仕組みである。検出部全体がプラスチックで構成されているため、X線透視像にまったく写らないという特徴を持っており、これまでの線量計で問題となっていた課題が克服された形だ。

近年、医療被曝を含む放射線被曝への関心が高まりつつあり、欧米などでは測定が義務づけられているという背景から、国内においても小児のX線被曝やCT撮影や集団検診などにおけるMIDSOFの利用が増加すると予想されるとしている。

MIDSOF線量計