アルテック、高い強度と伸び率を両立した3Dプリンタ用のナイロン素材を展示

アルテックは、1月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催された自動車技術の大型展示会「第4回 クルマの軽量化 技術展(オートモーティブワールド 2014内)」で、米Stratasysが開発・製造するプロフェッショナルユース向けの3Dプリンタを展示し、自動車メーカーや部品メーカーの開発者などで賑わった。

同社はStratasysの国内代理店。ブースでは「Fortus 400mc」「uPrintSE Plus」「Dimension 1200es BST」「Objet260 Connex」「Objet30pro」を展示した。Fortus 400mc、uPrintSE Plus、Dimension 1200es BSTは、熱可塑性樹脂を熱で溶融して射出するFDM方式を採用する。一方のObjet260 Connex、Objet30proはインクジェットノズルから光硬化性液体樹脂を射出するPolyjet方式を採用する。

また、3Dプリンタで出力した自動車部品の試作品(テールランプ、ハンドル、チャイルドシートなど)を紹介した。

さらに、「Fortus 360mc・400mc・900mc」で扱えるナイロン素材「FDM Nylon12」を使って作成した試作品を展示。FDM Nylon12は、Stratasysが2013年12月に発表した最新の素材で、ほかのFDM素材と比較して最大5倍の破損耐性、最大3倍の破断伸びがあり、高い強度と伸び率を両立した3D造形が可能となるとしている。自動車業界での用途としては、カスタム生産ツーリング、治具および固定具、インテリアパネル、低熱吸気コンポーネント、アンテナカバーなどの試作に活用できるとしている。

講演では自動車業界での3Dプリンタの活用例を紹介

同社は、クルマの軽量化 技術展内にある特設会場で「3D プリンタによる自動車の軽量化」と題する講演を行った。産業機械本部 デジタルプリンタ事業部 3Dプリンタ営業課 主任の岡部泰三氏が登壇し、自動車業界におけるStratasysの3Dプリンタの活用事例を語った。

1つ目は各種パーツの設計評価で、これがもっとも活用されている事例だという。例えば、Polyjet方式の3Dプリンタを使ってゴムライク材料のドアのシーリング部分を試作することで、実際に自動車に取り付けてドアの開け閉めなどの評価ができる。

また、Polyjet方式の照明パーツは実製品に匹敵するほどの透明度があることから、実際にLED電球を点灯させて光り方を評価できる。そのほか、内装、ベンチレーション、テクスチャ、ギアなどの評価に3Dプリンタが活用されているという。

試作品の評価に3Dプリンタが活用される理由について同氏は、「シミュレーションソフトでは、工具を持った人が部品と干渉せずに作業するスペースがあるかを判断しづらい。一方の3Dプリンタの試作は、実際に見て・触れて確認できるのでわかりやすい」と話した。また、「試作用の金型を作らずに済むので、コストを抑えられるというメリットもある」と続けた。

2つ目はプレゼンテーション用のツールとなるプロトタイプの作成。最近では、プラスチック材料の造形にメッキ塗装して"本物そっくり"のサンプルを作り、販促活動に利用する例があるという。「鉄製とメッキ加工したプラスチック製を見比べても大きな差はない」と同氏は述べる。

3つ目は治具の作成。例えば、自動車メーカーのBMWはエンブレムの取り付け用にこれまで鉄製の治具を使っていたが、鉄製であるが故に車体を傷付けることがあったという。BMWでは、FDM方式の3Dプリンタを使って軽量なプラスチック製の治具に切り替えることで安全を確保したという。また、新たな治具も短時間で作成できるので、自動車のデザインの変化にも即座に対応できるという。

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