情報通信研究機構(NICT)は1月23日、日立国際電気と共同でテレビ放送帯のホワイトスペースを利用した長距離ブロードバンド通信実験を実施、成功したと発表した。

実験は岩手県遠野市で、国際標準規格IEEE 802.22及びIEEE 802.11afに基づき開発した無線通信システムを利用した。この結果、12.7kmの基地局-端末間を、下り5.2Mbps、上り4.5Mbpsで伝送することに成功したという。

また、これをバックボーンのリンクとして、IEEE 802.22端末にエリア展開が可能なIEEE 802.11afのアクセスポイントを接続することで中継局を構成し、マルチホップネットワークを構築することにも成功している。

概要図

同実験では、道路や崖の監視、テレビ電話のような実際の利用シーンを想定した検証も行っており、有線ネットワークの利用が困難な地域における通信確保だけでなく、災害時における通信回線の支援システムとしての利用も期待できるという。

なお、この実験の成果は、平成25年度に総務省から受託した「ホワイトスペースにおける新たなブロードバンドアクセスの実現に向けた周波数高度利用技術の研究開発」に基づき得られたものとなる。

今回開発した方式はオプションユニットの簡易な増設によって運用可能なチャネル数を増やすことができるよう設計されており、利用可能なチャネル数に応じてさらに高速な通信も実現するができるという。これにより、地域ごとのブロードバンド需要などに合わせたインフラの構築が可能となる。