原美術館は、ベルギーを代表する現代美術家のアジア初の美術館での個展「ミヒャエル ボレマンス:アドバンテージ」を開催している。開催期間は3月30日(月曜は休館)、開館時間は11:00~17:00(水曜は20:00まで)。会場は東京都・品川の原美術館。入場料は一般1,000円、大高生700円、小中生500円。
同展は、ミヒャエル ボレマンスの初期から現在までの主要な作品約30点が集結する個展で、不透明な現代社会を生きる人間の宿命を描きだす"映像的な"絵画を中心に、近年制作を始めた"絵画的な"映像作品も紹介。作品と厳しく向き合うボレマンスは、実際の制作数に比べて完成作が少ないことで知られている。
また、銀座の「ギャラリー小柳」でも、ボレマンスの個展「Girl with Hands」を開催しており(3月1日まで)、ボレマンスが初めて単一モチーフの連作だけで構成したという展示になっている。意味のない手作業に没頭する少女を描いた8枚のペインティングは、単にポーズが違うだけでなく、描き方や筆致、光の具合、時間の流れ、少女の存在感から鑑賞者との心理的な距離まで、さまざまなバリエーションを生み出している。
さらに、2月20日~25日には、京都造形芸術大学の企画により、建仁寺 両足院でボレマンス初の墨絵によるドローイングが展示される。この展示は「もしも圧倒的な技術、表現力を有し、異なる文化を背景にもつ現代アーティストが、日本の寺社において現地で襖絵や調度品を制作した場合、その作品はどのように心に伝わるのか?」という想像をきっかけに企画され、芸術大学の今後の教育メソッドを検討する試みとして実現するものだ。2月14日までにメールでの事前予約が必要となり、期間中の10:00~15:00まで1時間おきに受け付ける(先着順)。詳細はWebサイトを参照してほしい。
なお、ミヒャエル ボレマンスは1963年ベルギー・ヘラールツベルヘン生まれの現代美術家。現在はゲントで制作活動を行っている。30代に入った1990年代半ばより、写真による表現から絵画へと転向。以来、国内外の先鋭的な美術館やアートスペースで個展を開催し、ベルリンビエンナーレ(2005年)などの国際展にも参加している。近年、絵画と連動する映像も手がけており、さらに謎めいた世界を創り上げている。2010年夏には、ベルギー王妃の依頼を受け、王宮に展示するための作品を制作し、一般公開された。