パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は1月14日、日本マイクロソフトとの協業により、Microsoft Dynamics AX(以下、Dynamics AX)をベースに開発されたヨーロッパ製の製薬業向けソリューション「AX for Pharma」を日本市場に投入すると発表した。
AX for Pharmaは、マイクロソフトのERP製品「Dynamics AX」のアドオンソリューションで、PBCはこれをローカライズして2014年4月下旬より提供を開始する。
厚生労働省は、GMP(Good Manufacturing Practice/適正製造規範)をはじめとする医薬規制の世界標準ともいえる「PIC/S(Pharmaceutical Inspection Convention and PharmaceuticalInspection Co-operation Scheme/医薬品査察協定および薬品査察協同スキーム)」への加盟を2012年3月に申請しており、早ければ本年中にも受理される見通し。
同省では、これに先立ち2012年2月に各都道府県に向けて「GMP調査要領の制定について」を発出し、同年7月よりPIC/S基準のGMP査察に移行するための準備を促している。
また、製薬業界には医療費抑制圧力や海外企業の進出などもあり、パシフィックビジネスコンサルティング 代表取締役社長 小林敏樹氏は、「コスト低減と品質確保という二律背反の課題対応していくことが、大手だけでなく、中堅企業でも重要な課題になる」と語る。
すにで製薬企業に中には、海外製のERPを導入している会社もあるが、カスタマイズする項目が多く費用がかかるほか、PIC/Sの査察に対応できるかという不安もあるという。
そこで同社がコスト削減、品質確保、グローバル、安定供給、在庫管理に加え、PIC/Sが要求する品質システムおよびGMP基準への対応し、導入・ライセンス費用を抑えたERPが必要と判断し、イタリアのNEW STRATEGIES SRL社が提供している「AX for Pharma」をローカライズして国内で提供する。
AX for Pharmaのモジュールには基本モジュールであるBasic Pharmaのほか、Advanced Quality Management(品質管理モジュール)、GMP Plant Maintenance(プラントメンテナンス モジュール)、Dispensing(秤量モジュール)、Activity-Based Product Costing(活動原価計算モジュール)がある。
ライセンス料は40ユーザーの場合700万円で、保守料はライセンス料の16%(40ユーザーで112万円)。
これら料金は、海外製ERPに比べ、ライセンス料は1/3~1/2、保守料は20%以下だという。
今回の製品は年間売上げ100億円以上の大規模向けのオンプレミス版だが、年内には中規模向けのSaaS版の提供も行う予定。
同社では、2014年度に5億円、2015年度に10億円、2016年度に25億円の売上目標を掲げている。