TANAKAホールディングスは1月14日、田中貴金属グループの田中電子工業が、従来品に比べて、導電性を約30%向上させた銀合金製ボンディングワイヤ「SEC」を開発したと発表した。

同製品は、合金組成を最適化し、加工方法を改良したことで、電気抵抗率を従来品の約3.3μΩ・cmに対して約2.6μΩ・cmとし、導電性を約30%向上させている。これにより、純度99.99%の金製ボンディングワイヤ(4N-Auワイヤ)の電気抵抗値(約2.3μΩ・cm)と、ほぼ同等の性能を実現した。さらに、ボンディングワイヤの先端部を溶かした球状のFAB(Free Air Ball)の柔らかさも4N-Auワイヤと同等に向上させたため、アルミ電極を傷つけることなく、高性能の要求を充分に満たす高い接合性を有することができる。

また、耐食性は、従来品と同等で、高い信頼性を確保している。生産面では、4N-Auワイヤとほぼ同じ使用条件で充分な接着が可能な他、金製ボンディングワイヤ用の設備を一部改造することで、安価で安全な窒素ガスで接着できる。これらにより、ICやLSIの配線材をはじめ、4N-Auワイヤで実装されているあらゆる分野において「SEC」を使用することができ、4N-Auワイヤから「SEC」に代替する場合、約80%の貴金属地金コストダウンが可能となるとしている。

田中電子工業では、現在約6000万mである銀合金ボンディングワイヤの市場規模が、3年後には約2億mになると見込んでおり、半導体およびLEDメーカーなどに対して「SEC」を提案することで、3年後に月間5億円の販売を目指す。1月15日より販売を開始する。

従来品に比べて、導電性を約30%向上させた銀合金製ボンディングワイヤ「SEC」