ビジネスで扱うデータの増大やBCP(事業継続計画)/ディザスタリカバリ(DR)、モバイルワークへのニーズの高まりなどから、いかに低コストかつ大容量、高速で、さらに信頼性を兼ね備えたストレージを導入するかが企業にとって大きな課題となっている。そこで、ストレージ市場で世界トップシェアを誇る米NETGEARのプロダクトマーケティングマネージャーでストレージ担当のMatt Pahnke氏と、同社プロダクトラインマネージャーでストレージ担当のBrett Hesterberg氏に、最新のストレージ製品が備える機能と企業での利用シーンについて話を聞いた。

SOHOから500人規模の企業まで多様なニーズに応えるNAS

現在ネットギアは、5,000ドル以下の世界のストレージ市場において3年連続で第1位のシェアを獲得している。ストレージ市場全体の売上規模でも世界4位のポジションにある。そんな同社が市場に送り出しているNAS製品のラインナップは、SMB市場にフォーカスした、多機能かつ簡単に利用できる「ReadyNAS」と、エンタープライズ・クラスの性能を備えながらSMB向け同様の低コストを実現した「ReadtDATA」という、大きく2つの製品シリーズからなる。

NETGEARストレージ製品マッピング

米NETGEAR プロダクトマーケティングマネージャー ストレージ担当 Matt Pahnke氏

まずReadyNASについてMatt氏は、「数あるストレージ製品の中でも、導入から実利用までをスピーディかつ容易に行えるのが特徴です。他社のストレージ製品のみならず、グーグルやDropboxなどの最新のサービスまでを見据えて、必要な機能を最適な価格で提供するというのが我々の開発コンセプトだ。小さな企業であっても簡単に使えることを目指している」と話す。

ReadyNASは、家庭向けから500人を超える企業までが利用できるよう、多様なラインナップが用意されている。しかも、いずれも同じOSを搭載しているため、機能は共通しており拡張も容易だ。Windows、Mac、Linuxと異なるOS環境に共有のストレージサービスを提供するReadyNASは、ユニファイド・ストレージとして高い評価を得ている。

Matt氏は、ReadyNASの機能を活用したデータ保護のかたちを、次のような複数層による保護という観点から説明している。

データ保護のまず第一層が、異なるOSからデータ保存先を1つに統一することであり、第二層は、RAIDを組んでの冗長性の確保、第三層は、遠隔地へのレプリケーションで更なる冗長性を持たせることだ。

そしてデータ保護の第四層は、ReadyNASの特徴の1つである無制限のスナップショット機能による、ストレージ容量を節約したバックアップである。スナップショット機能は、VMware、Windows Server、Citrixといった仮想環境でも利用することができる。その他、アンチウィルス機能も搭載し、データ保存のたびにファイルのウィルススキャンを行い、ウィルスの脅威からもしっかりと保護する。

「これらの複数層の保護機能がすべて標準で装備されており、追加コストを一切かける必要はない。標準搭載のリアルタイムアンチウィルス機能についてもライセンスの更新は不要。一般の保証期間よりも長い5年間の保証も強みだ」とMatt氏は強調する

また、スマートフォンやタブレット、もちろんPCも含めて、インストールするだけで様々なデバイスで世界中のどこでもWebブラウザだけでReadyNASのファイルにアクセスできるようになるNETGEARオリジナルの無料アプリ「ReadyCLOUD」は、モバイルビジネスを促すサービスとなっている。

「一般のクラウドストレージサービスは便利だが、ビジネスでのファイルを他人のサーバーに預けるというのはリスクが大きい。しかも重量制のサービスの場合はコストもかさみがちだ。ReadyCLOUDを使えば、自社で管理するReadyNASにインターネット経由で安心してアクセスすることができるのだ」(Matt氏)

スマートフォンからReadyCLOUDへのアクセスをデモするMatt氏

他にも、ネットギアだけでなく世界中のデベロッパーが開発した約70ものアプリケーションをWebの管理画面からインストールが可能となっており、自社に合った機能をReadyNASに追加することができる。さらに、離れた拠点間でのVPN経由のレプリケーションをサポートしているため、小さな企業でもコストをかけずにBCP/DRに取り組めることだろう。

近日リリース予定の新製品「ReadyNAS716」では、CPUにIntel Xeon Quad Coreプロセッサを搭載し、10Gbpsのイーサネットポートと16GBのメモリを搭載するなど、一層のパフォーマンスの向上が図られている。

高速性を追求し、マルチサイトでのBCPも容易に実現

もう1つのReadyDATAもコンセプト、機能面ともにReadyNASとよく似ているが、こちらはより速くより大容量を追加したシリーズとなっている。その高速性の秘密の1つが、SSDキャッシングだ。リード、ライトともにHDDよりもはるかに高速なSSDへとキャッシングすることで、効率的に高速化を図っているのである。

米NETGEAR プロダクトラインマネージャー ストレージ担当 Brett Hesterberg氏

「頻繁にアクセスするデータを選択してキャッシングをする技術により、更なる高速化を追求した」とBrett氏は説明する。

また、ファイルレベルでレプリケーションを行うReadyNASに対し、ReadyDATAはブロックレベルでレプリケーションを行う。重複排除や圧縮などの先進的なストレージ技術を採用。ディスクまるごとのレプリケーションであっても短時間で完了するよう工夫が凝らされている。そして、ReadyDATAを多拠点に配置してレプリケーション構成にすると、1つの拠点からすべての拠点のレプリケーションをたった1人で実施することが可能となる。

さらに、最新のOS1.4では、フェイルバック・レプリケーション機能が新たに追加された。この機能を使えば、万が一メインサイトが停止した場合には、レプリケーションを行っているセカンドサイトに瞬時にスイッチ。そしてセカンドサイトで運用を行った後にメインサイトが復旧すると、障害発生後に更新された新しいデータのみをメインサイトに戻すことができる。このため、コピーにかかる時間は最小限に抑えられ、早期に再度メインサイトの運用に戻ることができる。

「このような本格的なマルチサイトのバックアップ環境が簡単に実現できるのがReadyDATAのポイントだ」とBrettは訴える。

今年中には、AmazonS3にレプリケーションを行う機能もReadyDATAに追加される予定だという。