IDC Japanは2014年1月7日、国内IT市場産業分野別企業規模別の2013年上半期の分析と2013年~2017年の市場規模予測について発表した。

国内IT市場企業規模別支出額予測: 2011年~2013年

2013年は景気の回復によって企業の業績が改善し、多くの企業でIT支出が伸びた。ただし、大企業(従業員1000人以上)とSMB(中堅中小企業/999人以下)では、回復の差が生じている。

大企業(従業員1000人以上)は、多くの企業で業績が改善してIT支出も回復傾向にあるため、2013年の成長率は前年比+1.2%の6兆5523億円と予測されている。

一方、SMB(中堅中小企業/999人以下)は回復傾向にあるものの、未だ多くの企業で業績の改善が遅れているため、成長率は+0.2%の3兆5328億円で抑制傾向と予測されている。

企業規模別の2013年IT支出額は、小規模企業(1~99人)が1兆607億円(前年比成長率:-0.2%)、中小企業(100~499人)が1兆5544億円(同0.3%)、中堅企業(500~999人)が9177億円(同:0.7%)、大企業(1000人以上)は6兆5523億円(同:1.2%)と予測されている。

国内経済は拡大しつつあり、多くの企業で業績が回復している。しかしこの傾向は、金融緩和政策や円安によって恩恵を受ける大企業には当てはまるものの、中堅中小企業へ同様に当てはまるとは限らない。その結果、2014年IT投資は、投資額・投資の内容の両面において企業規模間格差が開いていく可能性が高くなる。

大企業はIT投資額を増加させる傾向にあるのに対し、中小企業はその傾向が弱くなる。大企業は、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ、ソーシャル技術)によるITソリューションに積極的な傾向が見られるが、企業規模が小さくなるにつれて、資金不足や人材不足がIT投資を阻む傾向にあるため、それらの要因を克服するITソリューションが求められる。

IDC Japan ITスペンディングシニアマーケットアナリストの福田馨氏は「ITベンダーは、企業規模別に置かれている環境の違いを十分に考慮した提案活動をしていくべきである」と分析している。