2014年2月で創業90周年を迎える日本事務器株式会社(NJC)では、医療・公共、文教、民間企業向けに各種ソリューションを提供する。中でも、医療・介護・健康などのヘルスケアソリューションは、約2,000ユーザーへの導入実績がある同社の中核事業で、電子カルテ、医療事務、介護保険業務支援システム、地域医療連携ネットワーク、健診システム、特定保健指導システムなど、幅広いソリューションを提供している。
医療分野の中心は電子カルテシステムで、「MegaOak-MI・RA・Is/PX」シリーズを展開。「MegaOak-MI・RA・Is/PX」シリーズはCSIが開発した電子カルテシステムで、NJCでは、提案・導入から運用サポートまでをワンストップで提供している。
「MegaOak-MI・RA・Is/PX」シリーズには、一般病院向けのほか、混在型病院向け(急性期医療と慢性期医療などの混在)の「Type X」、精神科単科病院向けの「Type M」、100床未満の小規模医療機関向けの「Type C」と、4種類がラインナップされている。
同社の医療分野での強みについて、日本事務器株式会社 事業推進本部 ヘルスケア・文教ソリューション事業推進部 ヘルスケアソリューショングループ 藤木健介氏は、「弊社は単に商品を販売するというだけでなく、拠点には病院での導入経験豊富なSEがおり、ハードウェアの保守部隊やネットワーク専門のスタッフもかかえるなど、サポート体制が充実しています。このあたりが評価されて、多くの導入実績につながっていると思います」と語る。
また、幅広いラインナップを持っていることで、各システムの連携が図れる点も同社の強みだ。
「たとえば、弊社には介護保険業務支援システム『EHRLINKほのぼのNEXT』というものがあります。通常、医療保険と介護保険は別々のシステムになっていることが多いのですが、弊社の場合、新たに『PHRMAKER』という法人内情報一元化サービスをお使い頂くことでこれらの患者情報を連携し、どのクライアント端末からでも情報を参照することができます。この点は、他社との大きな差別化ポイントになっています」(藤木氏)
医療機関は電子カルテシステムを導入することで、文書の保管スペースを削減できるが、メリットはそれだけではない。
その他のメリットについて同氏は、「診療記録や診療に関する諸記録を電子化することで、病院内の部門同士の連携を図ることができます。具体的には、それまで人間が行っていた調剤部門や処置室などに対する医師からの指示をデータで伝えることで転記や伝達のミスを防ぎ、情報伝達を迅速・正確に行うことができます。また、紙カルテを利用している場合は、各部門に対してカルテを人がカートを使って運ぶことになりますが、その間、各部門は情報を見ることができません。電子化すれば、搬送業務から解放されるとともに、1患者の情報を必要な部門が共有して閲覧できます。これは最終的に、患者さんの待ち時間短縮にもつながります。加えて、求める文書を簡単に検索できるのも大きなメリットだと言えます」と説明する。
こういった理由から、すでに電子カルテは多くの病院で導入が進んでおり、最近は小規模な病院でも導入の検討が始まっている。
しかし、電子カルテだけでは、病院での紙文書を完全に無くすことはできない。手術の同意書、他の診療機関からの紹介状など、どうしても紙で残ってしまう文書があるためだ。本来、電子カルテの導入によってカルテ庫は空になるはずだが、こういった紙文書により、病院は文書管理の煩雑さから解放されていないのが現実だ。これらの文書もすべて電子化すれば問題は解決できるが、それには多くのコストがかかる。
「一般的な文書管理システムでは、数千万、場合によっては一億円程度の費用がかかります。弊社では一部の紙文書の電子化をしたいというニーズに対して、できるだけ廉価な商材を提供したいと思っています」(藤木氏)
そこで同社は、システムの周辺機器としてスキャナーを提供することで、これらの課題を解決する。
利用するスキャナーには、キヤノン製を選択。機種を選定する際にはショールームを訪れ、実際に見て検討したという。
「品川のショールームを訪れ、紙を丸めてから軽く伸ばしただけでスキャンしても、何の問題もなく読み取られたデモを見たときは、その性能に感動しました」と藤木氏。
また、電子カルテ開発元のパイロット病院で3台のキヤノン製スキャナーを使って、1日あたり1,000枚の文書を取り込んでいる実績があったことも理由の1つだ。同病院では、電子化により印刷物の在庫管理の手間がなくなり、スキャニングされたデータが電子カルテ上に紐づくことで、探しやすくなったと好評だ。
さらに、スキャナーに搭載されるバーコード読取機能も、効率化に役立っている。
キヤノン製スキャナーには、原稿に含まれるバーコードを検知した際に、その文字列を自動的にファイル名に付与する機能がある。検知したバーコード文字列、予め登録した文字列、タイムスタンプなどを組み合わせて、ファイル名を自動生成することも可能だ。
NJCではこの機能を利用し、電子カルテシステムから出力される同意書などの文書に、患者番号のバーコードを印字しておき、署名後に回収された文書をスキャナーで読み取ることで、文書名、患者番号、タイムスタンプなどがファイル名に付与されたファイルを生成し、自動振り分けまでを実現している。これにより、電子カルテ上に人の手で関連づけをする手間なく電子化が実現できるのだ。
患者ごとのバーコードで自動的に区別してファイル名を生成するため、複数患者分をまとめてスキャンすることも可能だ。ファイル名に含まれる文書名、患者番号、タイムスタンプなどにより、システム内データは自動で紐付けされ、患者ごとのデータ参照が実現できる。
「MegaOak-MI・RA・Is/PX」シリーズとは別にNJCの取り扱うソリューションにより、e-文書法対応も行っており、スキャナーに付属するソフト「CapturePerfect」と組み合わせることにより、イメージを精細に取り込むこともでき、e-文書法の取り扱い基準での読み取りがスムーズに行えている。
同社では今後、スキャナーを1つの商材として提供し、病院内紙文書の電子化を促進する。さらに、すでに提供中のタブレット貸し出しサービスなどを組み合わせ、総合的な提案を行っていく予定だ。
「電子化すると言っても、弊社としては『MegaOak-MI・RA・Is/PX』の標準機能にスキャナーを追加するだけなので、システム変更はほとんどありません。一部の紙文書の電子化に絞ることで、ユーザーもそれほど大きなコストをかけずに実現できます」と藤木氏。
NJCでは、すでに稼働中の顧客事例をもとに、今後も病院内紙文書の電子化を進めていく予定だ。
※MI・RA・Isは、株式会社シーエスアイの登録商標です。また、MegaOakは、日本およびそのほかの国における日本電気株式会社の登録商標または商標です。