2013年5月に提供開始された「Illustrator CC」。CCはCreative Cloud(クリエイティブクラウド)の略です。クラウドという言葉が入っていますが、従来通りのアプリケーションです。皆さんはIllustrator CCのことをちゃんと理解しているでしょうか?

Illustrator CCとは

Illustrator CCは、2013年5月から提供開始された最新版のIllustratorです。通算バージョンでいうとVersion17となります。Creative Suiteユーザであるなら、CS7だと思ってもらった方がどのようなソフトか想像しやすいでしょう。そしてCCはCreative Cloud(クリエイティブクラウド)の略称です。クラウドという名称が入っているので、Webブラウザで使うアプリになったと思っている読者はいらっしゃいませんか? Illustrator CCは、購入形態が変わりましたが、これまでのIllustratorと同様にMac/PCにインストールして使用します。

購入方法が変わった!

Illustrator CCで大きく変わったのは、アドビ システムズ社(以下、Adobe)のアプリの提供方法です。従来のパッケージ製品での販売はなくなり、すべてAdobeのWebサイトからアプリをダウンロードしてインストールする形態になりました。インターネットの接続が必須となります。購入方法も使用権を購入するサブスクリプションに一本化されました。すでにCS6でも始まっていたのですが、今回のバージョンから完全にダウンロード販売になったということです。

IllustratorCCは、AdobeのWebサイトからダウンロードする

プランにより異なる月額料金

Illustrator CCを使用するには、Illustrator CCの単体製品のサブスクリプションを購入するか、Adobeのデザイン系のすべての製品を使用できるCreative Cloud通常版のサブスクリプションを購入するかの、二択となります。

どちらにも、年間プランと月々プランがあります。年間プランは1年間の契約で、毎月使用料を払います。単体製品が2,200円/月、Creative Cloud通常版が5,000円/月です。月々プランは、単体製品が3,200円/月、Creative Cloud個人向け通常版が8,000円/月です。

製品名 年間プラン 月々プラン
単体製品 2,200円/月 3,200円/月
Creative Cloud通常版 5,000円/月 8,000円/月

価格を見ればわかりますが、Illustrator以外に「Photoshop」や「Acrobat」などのクリエイター御用達の複数のアプリを使うのであれば、単体製品よりもCreative Cloud通常版を選択したほうが割安となります。

AdobeIDが必要

サブスクリプションの購入と、アプリをインストール後に使用するために、AdobeIDが必要となります。AdobeIDは、AdobeのWebサイトでメールアドレスと任意のパスワードを登録して無償で取得できます。サブスクリプションの購入時に使用したAdobeIDは、Adobeのサーバで管理され、Illustrator CCを起動する際にはAdobeIDとパスワードを入力してサインインする必要があります。

Illustrator CCの起動には、AdobeIDとパスワードが必要

常にインターネット接続が必要?

インターネットの接続が必要なのは、「アプリのダウンロード」と「初回起動時のサインイン」のときです。あとは、インターネットへの接続は不要です。ただし、30日ごとにソフトウェアライセンスの確認が行われます。年間プランでは最長99日間、月々プランでは最長30日間、インターネットに接続しない状態で使用できます。

Creative Cloudの概要

多くのユーザが選択するであろう、Creative Cloudについても、簡単に紹介しましょう。

ほぼすべてのアプリを利用できる

最大のメリットは、Creative Cloudは、Adobeのクリエイティブ系のアプリがほぼすべて使用できることです。印刷向け、Web向け、映像向けのすべてのアプリをダウンロードして利用可能です。なお、ダウンロードは、使用するアプリだけをダウンロードしてインストールします。アプリは、Creative Cloudデスクトップアプリで管理できます。

サブスクリプションの契約中であれば、バージョンアップがあっても、最新のバージョンをダウンロードして利用できます。


クロスプラットフォーム

Creative Cloudアプリは、ひとつのサブスクリプションで、2台まで同時に起動できます。パッケージ製品のように、Mac版、Windows版という区別がないので、Mac+Mac、Mac+Win、Win+Winのどの組み合わせでも利用できます。Web制作においては、プラットフォームによる検証作業も必要になるので、ひとつの契約でMacとWinとどちらも使えるのはメリットでしょう。

なお、アプリのインストールは、何台のマシンにでも行えます。ただし、インストールしたアプリを起動するには、AdobeIDでのサインインが必要なので、すでにふたつの環境でサインインしている場合は、3台目のMac/PCではサインインできないため、起動できなくなります。この場合、先にサインインしていたMac/PCでサインアウトすれば、サインインできるようになります。同時にサインインできるのは2台までということなので、サインインとサインアウトを上手に使い分ければ、多くのMac/PCでIllustratorや他のCreative Cloudアプリを利用できます。

CS6も使える

最新版のCCだけでなく、ひとつ前のバージョンであるCS6もダウンロードして利用できます。ただし、ダウンロードは、Creative Cloudアプリからではなく、製品の説明ページからとなります。製品情報の製品名を「Illustrator CS6」に変更するとダウンロードできるようになります。

Creative Cloudユーザは、CS6もダウンロードできる