ICT総研は12月19日、公衆無線LANサービス(Wi-Fiサービス)市場に関する調査結果をまとめた。これによると、2013年度末の公衆無線LAN利用者は前年比34%増の1702万人に達し、2016年度末にはサービス利用者が2914万人に拡大すると予測されている。
公衆無線LANサービスの2012年度末(2013年3月末)利用者数は1269万人で、そのうち個人利用者は1068万人、ビジネス利用者は201万人であった。2013年度末には34%増の1702万人に拡大する見通しで、個人利用者だけでも1459万人に達する勢いだという。
今後も利用者数は毎年400万人前後のペースで伸び続け、2014年度には2000万人を突破、2016年度には3000万人に近づくと予想している。
ICT総研が10月に実施したアンケート調査では、1万4993人のアンケート回答者のうち、公衆無線LANサービスを利用していると回答したのは全体の12.3%にあたる1851人であった。このうちスマートフォン利用者に限れば、6172人のうち23.8%にあたる1471人が公衆無線LANサービスを利用していると回答した。
スマートフォンの利用者は年々増え続けており、既に契約数ベースで5000万件を超えている。スマートフォン利用者の多くが契約時に携帯電話事業者の公衆無線LANサービスに加入するため、公衆無線LANサービスの契約者数は今後も増え続ける見通しだ。
ただし、公衆無線LANサービス契約に加入しても、屋外でのWi-Fi設定を行わなかったり、無線LANサービス自体を解除してしまうユーザーも多いため、公衆無線LANサービス契約数と実際の利用者数には乖離が見られる。
携帯電話事業者は、LTEなどの高速無線ブロードバンドサービスインフラを拡充しているが、電波が混み合う時間帯には通信速度が低下するため、人が集まるエリアでは公衆無線LANを利用することを推奨し、無線LAN基地局の増設を進めてきた。
ソフトバンクモバイルは2013年11月時点で約45万か所、KDDIは22万か所、NTTドコモは14万か所にWi-Wiスポットを設置済み。各社の公衆無線LANサービスは、携帯電話やスマートフォンのパケット定額サービスに加入すれば実質無料となるため、無線LAN利用時にデータ通信料金が加算されることがなく、大容量の動画やアプリなどをダウンロードする際に便利なサービスである。
携帯電話事業者がこうしたサービスの拡充をした結果、公衆無線LANサービスに対するユーザーの満足度は着実に上昇しており、軒並み昨年の満足度を上回っている。
今回の満足度調査では、Wi-Fiスポットの設置件数で他社を圧倒するソフトバンクモバイルが首位となり、総合満足度で65.7ポイントとなった。次いでKDDI、NTTドコモのサービスが両社とも65.1ポイントと2位につけている。
これに対して、固定系通信事業者などが運営するサービスは、利用できる無線LANスポット設置数が少ないため、総じて利用者の満足度が低い傾向にある。
Wi-Fi通信機能が標準装備されたモバイル情報端末は、年々増加し続けている。2011年度に出荷台数3749万台だった無線LAN対応モバイル情報端末は、2012年度に4000万台を突破した。今後もスマートフォンやタブレット端末の増加とともにWi-Fi対応端末は増え続け、2016年度の年間出荷台数は5423万台に達する見通し。
近年、日本を訪れる外国人旅行者が増えており、さらに2020年の東京オリンピック開催に向けてより多くの外国人が来日することが見込まれるため、外国人観光客が利用しやすい公衆無線LANサービスの構築が進んで行くとみられている。