米IBMは12月17日(現地時間)、今後5年間で人々の働き方、生活、関わり方を変える可能性を持った一連のイノベーションを発表した。

今年で8回目となる「IBM 5 in 5」は、時代の流れとともによりスマートになり、データ、デバイス、人々とのやりとりを通じてますますカスタマイズされる変化を可能にする、市場や社会の動向、および世界中のIBMの基礎研究所における新たな技術に基づいており、将来を決定付け、個人レベルで影響を及ぼす5つの予測を行っている。

その5つは、「クラスルームが生徒について学ぶ」「地元での買い物がオンラインに勝る」「健康維持にDNAを活用する」「デジタルの番人がオンライン・ユーザーを保護する」「都市が市民の生活を支援する」。

「クラスルームが生徒について学ぶ」では、将来のクラスルームでは、全生徒について学習するためのツールが教師に与えられ、幼稚園から高校、さらには就職まで、一人ひとりの生徒に合ったカリキュラムを生徒に提供できるようになり、今後5年間で、適性検査だけでなく、テストの点数、出席状況、eラーニング・プラットフォーム上での生徒のふるまいといった時系列データを用いて、各生徒について理解を深められるようになると予測。

そこで、クラウド上で高度なアナリティクスを行い、リスクの最も高い生徒や、生徒にとっての障害を予測し、生徒が個々の学習スタイルに基づいて課題克服に役立つ手段を提案できるよう、教師の意思決定を支援するという。

「地元での買い物がオンラインに勝る」では、今後5年間で、新たなイノベーションによって地元での購入が復活。洞察力に優れた小売店は、店舗の即時性と顧客との距離の近さを生かして、オンライン専門の小売店ではまねできないような体験をもたらすことができ、買い物客が実際に触れることができる場所にWebを導入することにより、デジタル体験を拡大すると予測する。

「健康維持にDNAを活用する」では、今後5年間で、ビッグデータ・アナリティクスや、新たなクラウド・ベースのコグニティブ・システムの進歩、ゲノム研究や検査における飛躍的進歩が一体となって、世界中の何百万人もの患者に対して医師が正確にがんを診断し、個別化された治療計画を立てられるようになると予測。

そこで、スマート・マシンが、すべてのゲノム配列決定のアウトプットや、蓄えられた医療記録や出版物の広範な情報を徹底的に調べ、学習し、治療の選択肢に関する詳細かつ実用的な洞察をがん専門医に素早く提供するようにするという。

IBMではこのような可能性を模索し始め、ヘルスケア・パートナーと共同で、遺伝子に関する洞察を提供し、これまで患者に最適な治療方法を探すのに数週間から数カ月かかっていたところを、数分から数日まで短縮できるようにするシステムを開発している。

「デジタルの番人がオンライン・ユーザーを保護する」では、私たち一人ひとりが専用の「デジタルの番人」に守られるようになり、委託された人やアイテムを重点的に保護するよう訓練され、新たなレベルのID盗難保護を実現するという。

IBMでは、機械学習テクノロジーを使用しており、将来的には、セキュリティはより俊敏に、そして状況に即するようになり、データ、デバイス、アプリケーションをあらゆる角度から認識し、攻撃やID盗難の予兆と疑われる逸脱を見分けられるようになるという。

「都市が市民の生活を支援する」では、今後5年間で、よりスマートな都市では、人々が必要としていること、好むこと、行っていること、移動の仕方を、コンピューターが学習して理解し、何十億もの出来事をリアルタイムで把握できるようなるという。

そのためIBMでは、ユーザーがアクセシビリティに関する問題を携帯電話を使って報告し、障がいを持つ人々が都市街路をより安全に移動することを可能にするクラウドソーシング・ツールや、ソーシャル・エンゲージメントのツールを開発しているという。