STMicroelectronicsは、産業用オートメーションシステム向けに、従来よりも小型、堅牢かつ電力効率に優れた制御機器を実現できる、絶縁内蔵パワースイッチ「ISO8200B」を発表した。
産業用の開閉器では、ロジック制御回路を電源側の外乱から保護し、ユーザの安全性を確保するため、物理的な分離もしくはガルバニック絶縁を導入する必要がある。従来は、ディスクリートの光アイソレータ(オプトカプラ)が使用されていたが、実装面積が増加するだけでなく、経年劣化と温度劣化があるため、導入および運用コスト上昇の一因となっていた。
同製品の内部には、非常に高い絶縁性を持つレイヤインタポーザとともに、ロジックチップとパワーチップが個別にスタックされている。ロジック入力を、マイコンまたはFPGAに直接接続することにより、誘導性、容量性、抵抗性といった様々な負荷に接続された8チャネルの出力スイッチを駆動することができる。RF電磁波耐性の規格IEC 61000-4-3にも対応している。
また、低い静止電流を実現するためのIC設計がなされていて、電力損失を低減できるため、従来のオプトカプラを用いたソリューションよりも優れた省電力化を可能にする。さらに、内蔵されているパワースイッチは、オン抵抗が非常に低いことから、システムの電力損失を最小化し、優れた熱性能によって信頼性を向上させる。
「ISO8200B」は、モータやヒータなどの誘導性負荷のための高速消磁回路を内蔵するため、さらなる省スペース化とコスト削減を実現する。加えて、過熱、短絡、低電圧、過電圧、接地不良、電源電圧の喪失などに対する保護機能も内蔵されている。この他、フォルト出力により、動作状態を直接監視することができる。
これらにより、様々な産業用オートメーションシステムだけでなく、汎用プログラマブルロジックコントローラ(PLC)にも、優れた省スペース性、ユーザの安全性、雑音余裕度、信頼性、電力効率といったメリットを提供する。
なお、パッケージはPSO36。価格は1000個購入時で約3.50ドル。すでに、量産を開始している。