公開されている、月の「雨の海」の赤色立体地図。左上の半円地域が「虹の入り江」
(ホームページ「月の地形図」より)

国土地理院は、日本の月周回衛星「かぐや」が観測した地形データを基に作成した詳細な月の地形図を、ホームページ上に13日公開した。折しも、14日ごろには中国の月探査機「嫦娥(じょうが)3号」が、人類としては37年ぶりに無人月面着陸に挑む。着陸予定の「虹の入り江」地区の様子も公開の地形図に描かれており、月への興味は高まりそうだ。

「かぐや」は2007年9月に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた。月の高度約100キロメートルを周回しながら月面や地下構造などの各種観測を行い、2機の観測衛星(おきな、おうな)を放出した。さらに09年2-6月には低軌道からの月の観測を行った。

公開された月の地形図は、「かぐや」に搭載の「レーザ高度計」によって得られた月全球の高さデータを国立天文台が解析した。詳細な計測点の座標と高度データを基に、国土地理院が「平射図法」や「メルカトル図法」などによる地図を作成したほか、「アジア航測」(東京都新宿区)も「赤色立体地図」を作成した。これらはいずれもダウンロードが可能だ。ほかに、赤色と青色の手作りメガネで立体視ができる「余色立体図」も用意している。

赤色立体地図は、回転しても拡大・縮小しても立体的に見える、独自開発による表現技法で、月のクレーターの重複や“海”の溶岩の積層の様子もよく分かるという。公開された同地図の「雨の海」には嫦娥3号の着陸予定の「虹の入り江」の地形の様子も詳しく描かれている。

嫦娥.号は、今月2日に中国が打ち上げた月無人探査機。月面に着陸後、内部に収納していた6輪の月面探査車(愛称、玉兎〈ぎょくと〉)を外に出し、月面や地下構造などを探査する。人類初の“月面天文台”として天体望遠鏡による宇宙観測も行う。月面着陸に成功すれば、1976年の旧ソ連の月無人探査機「ルナ24号」以来、世界では米ソに次いで3カ国目となる。

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