大日本印刷(以下、DNP)は12月12日、デジタル教科書・教材システムを活用して、学校教育におけるICT(情報通信技術)化の取り組みを推進するため、11月28日~2014年3月末までの約4カ月にわたり、茨城県の古河市立古河第五小学校で実証研究を行うと発表した。

DNPはすでに、本年6月20から21日に北海道教育大学付属旭川小学校で実証研究を実施したが、今回の実証研究はこれに続くもの。

古河第五小学校での実証研究においてDNPは、教師と児童・生徒の多様な学習シーンでの利用が可能で、学習履歴の保存機能を持ったデジタル教科書・教材ビューアおよび配信システムなどのICT基盤を構築・提供し、開発したデジタル教科書・教材システムの使い勝手や機能検証、課題抽出を進める。

21世紀にふさわしい学びの環境とそれに基づく学びの姿(例)

同時にDNPは、教師と児童・生徒、教師同士、児童・生徒同士の円滑なコミュニケーションを実現するとともに、学習の理解促進や意欲増進を促すデジタル教科書・教材の開発を強化し、教育現場を多面的に支援していく計画となっている。

本実証研究では、「デジタル教科書・教材のユーザビリティの検証」「デジタル教科書・教材のコンテンツの質の向上」「学習意欲の維持・向上」の3点について「観察」「アンケート・インタビュー」「ログ解析」を行い、改善および各種施策の実施につなげていく。

「デジタル教科書・教材のユーザビリティの検証」では、さまざまな利用者の行動をもとに、デジタル教科書・教材の操作性における課題を抽出し、誰にでも分かりやすく、使いやすいインタフェースへの改善を図る。

「デジタル教科書・教材のコンテンツの質の向上」では、デジタル教科書・教材の利用方法について、利用の場面や頻度を調査するほか、コンテンツごとの児童・生徒の興味・関心度、集中度について、観察やアンケート、インタビューなどで把握。その結果を出版社へフィードバックすることで、より興味・理解を促すデジタル教科書・教材用コンテンツの制作へつなげる支援を行う。

「学習意欲の維持・向上」では、児童・生徒の授業中の発言や行動から学習に対する積極性や協働性の変化を捉え、授業の活性度合いを把握。また、問題への回答状況などから学習進度や理解度を把握し、学習傾向を分析・可視化して、モチベーションを高める適切な指導に必要な施策を検討するなど、学習効果の向上をサポートする。

DNPは、複数の教科書出版社との連携を強化し、古河市立古河第五小学校をはじめ複数の小学校および、中学校や高等学校でも実証研究を行い、それぞれの特徴に合わせたコンテンツやシステムの開発とサービスの提供を行い、教師や児童・生徒にとって使いやすく役に立つ機能や、児童・生徒一人ひとりの学習進度に合わせて、興味喚起や理解度向上を促す多様な機能を開発していく。