ザインエレクトロニクスは12月9日、従来に比べて画質を改善した1600万画素対応カメラ向け画像処理用LSI「THP7312」を発表した。
同製品は、スマートフォンや車載カメラドライブレコーダ、セキュリティなどの分野においてデジタルカメラの高解像度化および画像補正処理ニーズに対応するもので、国内外の主要なCMOSイメージセンサメーカーとのコラボレーションにより、各センサの画質性能を十分引き出すことが可能になるという。
具体的には、1600万画素の高解像度に対応し、画像処理用プロセッサのハードウェア上に手振れ補正や動画・静止画同時撮影機能などの高度な機能を実装しながら、従来では併用が必須とされたDRAMなどの記憶素子や画像処理ソフトウェアを不要にした。これにより、LSIの小型化、低消費電力化、高速化を図り、スマートフォンなどのバッテリ駆動機器に最適な性能を実現している。
さらに、HDR(High Dynamic Range)機能を搭載。暗部補正機能にも優れていることから、明部と暗部の混在する静止画や動画を撮影する際にも、白とびや黒つぶれのない自然な画像が得られ、撮影した動画像をフルHDの大画面TVで楽しむことができる。これに加え、HLC(High Light Compensation)機能を搭載しており、ドライブレコーダとして使用する際に夜間対向車線の車のヘッドライトによる画像の白とびを自動補正することができる。
また、赤外光(IR)センサにも対応した画像処理機能を搭載している。スマートフォンでビューティーケア、ヘルスケア用アプリなどへの適用が期待されるほか、夜間の走行時などクリアな撮像が必要な車載カメラ、ドライブレコーダや、光強度が不足する環境でのジェスチャ認識やパターン認識が必要なセキュリティカメラなどの用途でも活用できる。この他、赤外光の画像処理により、既存技術よりも一層高度な静脈や眼球認識なども可能であるため、セキュリティレベル向上の実現も期待される。
同社では、このようなスマートフォン、車載、セキュリティなどの各分野で求められる画質と機能を搭載した画像処理用LSIに加え、ハードウェアおよびファームウェアの両面にわたり、充実した柔軟なサポートを行い、付加価値を提供していく。ファームウェアサポートでは、ドライブレコーダ市場のニーズに対応して、PM2.5などの粒子状物質や霧状の外気環境下においても、前後方車のナンバープレートの自動での読み取りと記録が求められるため、デフォグ機能を搭載している。例えば、中国では、街中や道路やホテルなど公共の場所の安全性を確保する観点から平安城市プロジェクトが進められており、街中に高解像度のセキュリティカメラの設置が進められているが、こうした屋外での画像撮影にも効果が期待される。
なお、サンプル出荷を12月より開始する。量産開始は2014年第2四半期の予定。スマートフォンをはじめ、一層の小型化、高解像度化が期待されるネットワークカメラ、スポーツカメラなど広範な市場に向けて拡販していく計画としている。