丸紅は12月10日、米EnerNOCと、日本においてデマンドレスポンス(以下、DR)を提供することを目的とした合弁会社を共同で設立することに合意したと発表した。
新しい合弁会社の名前はエナノック・ジャパンといい、同社はEnerNOCのクラウドベースのDRアプリケーションであるDemandSMARTの日本における独占ライセンスを保有する。
丸紅とEnerNOCは2012年に関西電力の「BEMSアグリゲーター(通常、ユーザーに端末を導入したり、クラウド等によって自ら集中管理システムを設置する事で、ユーザーの電力需要の削減を管理・支援する事業者)との協業による電力需給の安定化に向けた取り組み」事業に共同で参画、両社は同事業を含むこれまでの日本における協業を通じ、エナノック・ジャパン設立の合意に至った。
EnerNOCは、米国を中心に、豪州、カナダ、英国、ニュージーランドにて事業展開しており、管理している総需要削減規模は約9,000MWに上る。デマンドレスポンスとは電力需給逼迫時に需要家に短時間の節電を働きかけ対価を支払うことで、需給緩和及び長期的な電力設備投資抑制を実現する新しいスマートグリッド事業モデルであり、エナノック・ジャパンはEnerNOCの世界最大のDRプロバイダーとしての知見と、丸紅が全世界で展開している電力事業のノウハウを集約しDR事業に取り組み、日本の電力需給安定化に寄与することを目指す。
また、丸紅は東京電力と共にEnerNOCを委託事業者として、経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証事業(平成25年度予算)」第三次公募(執行団体は一般社団法人新エネルギー導入促進協議会)による「インセンティブ型ディマンドリスポンス実証(以下、DR実証)」の事業者として2013年11月22日に採択。
このDR実証はEnerNOCにとって日本で初めて行うアグリゲーターベースの商工業需要家に対するクイックレスポンスDRプログラムとなり、様々なDRポートフォリオによるピーク時供給力のためのDRと運転予備力調達のためのDRを東京電力に提供、日本の電力システムにDRを導入するための礎となることが期待される。
丸紅はこれまで海外で累計96,000MWの発電所建設実績を有し、また日系独立発電事業者として最大となる全世界における総発電設備容量約33,000MW、出資持分換算で約10,000MWを保有、日本においては昨今の電力需給の状況を受けてDRを始めとするデマンドサイドの取組が注目されており、丸紅は今後も電力バリューチェーンにおける積極的な事業展開を進めていく。