パナソニックとパナソニック プロダクションテクノロジーは12月6日、車載用途向け燃料電池向けのショートスタック評価装置と、基礎研究向けの単セル評価装置を開発したことを発表した。
燃料電池の開発では、対象となる単セルやショートスタック、フルスタックに対し、燃料である水素、空気の温度・露点・流量を変化させ、短時間および長時間の発電特性評価を行い、最適な電解質膜、触媒などの材料組成と、構造および接合プロセスを決定していく必要があるが、これまでは、そうした項目や条件測定の精度が不足していたため、開発効率が上がらないという課題があったほか、車載用途では家庭用途に比べ100倍以上の出力が要求されるにも関わらず、使用環境や走行状態などの各種条件が場所などによりバラバラとなるため、高精度な評価装置の開発が求められていた。
今回開発された2つの評価装置は、これまでパナソニックグループが家庭用燃料電池で培ってきた評価手法・技術を応用したほか、車両での実使用状態に近い起動・停止性能などの評価も可能としたことで、車載用途燃料電池の開発効率向上を実現することが可能だという。
具体的には、測定結果の再現性が高く、評価期間の短縮が可能。また、高い電流密度での測定が可能なほか、起動・停止を模擬した発電評価が可能。さらに、プログラムにより、同一機種で性能評価用途だけでなく、耐久評価にも使用でき、評価効率を向上させることが可能となっている。
なお、同社では今後、商品開発のステップに合わせた、単セル評価からフルスタック評価までの基本装置群の展開と、面内電流分布測定、発電シミュレーション、環境温度対応などのオプション機能展開を順次行っていくことで、燃料電池の開発効率の改善による早期商品化、コストダウンの実現に貢献していきたいとしている。