FFRIは12月5日、インターネットバンキング利用者を対象とした「インターネットバンキングに関するセキュリティ意識調査」の結果を発表した。調査方法はインターネット調査で、対象者はインターネットバンキングを利用する全国の20代~60代男女。調査期間は11月21日から11月22日、回答者数は420名となっている。
調査結果によると、インターネットバンキングの不正送金被害が拡大していることを知っているかについては、72.6%の人が「知っている」と回答。インターネットバンキングのリスクについて多くの人が認識していることがわかった。
フィッシング詐欺、マルウェア感染、個人情報・口座情報の流出、不正送金等、インターネットバンキングに関わる犯罪の被害に遭ったことがあるかについては、「個人情報・口座情報の流出」の被害が最も多く、「ある(3.1%)」「あるかもしれない(7.9%)」を合わせて、11.0%と10人に1人以上が被害を経験していることがわかった。
また、インターネットバンキングを選定する際のポイントについて、「重視する」のは「手数料の安さ(51.4%)」、「セキュリティ対策の充実(47.4%)」、「健全な経営状態(46.0%)」の順となり、手数料の安さと同様にセキュリティ対策の充実を重視する人が多いことが明らかになった。
インターネットバンキングに使用するPC端末にインストールされた各種ソフトウェアの更新状態については、OS、その他のソフトウェアともに「常に最新の状態にしている」「定期的に更新している」を合わせて約7割となり、ウイルス対策ソフト等のセキュリティ対策ソフトに関しては「常に最新の状態にしている(46.0%)」「定期的に更新している(29.3%)」を合わせて75.3%で7割以上となった。
インターネットバンキング利用時に注意すべき点について実施していることについては、「利用履歴の確認」を「毎回実施する」人が、28.1%であった。
「サイトの真正性(サイト証明書等)の確認」は「ほとんど実施しない(43.1%)」「実施しない(17.6%)」を合わせて60.7%と約6割。「ログインパスワードの変更」に関しても「ほとんど実施しない(45.0%)」「実施しない(17.6%)」を合わせて62.6%と約6割で、OSやセキュリティ対策ソフト等の更新頻度に比べ、インターネットバンキング利用時に注意すべき点については意識が低いことがうかがわれる。
金融機関がインターネットバンキング利用者に提供している各種セキュリティ対策について、存在を認識しているものについては、「ワンタイムパスワード」は64.5%、「ソフトウェアキーボード」は60.5%と、6割以上が認知していることがわかった。
その一方で「ウイルス対策」は46.0%、「フィッシング(偽サイト誘導)対策」は31.9%と認知が低く、「存在を認識しているものはない」と答えた人も13.1%であった。
金融機関から提供されているセキュリティ対策ソフトを利用しているかどうかについては、「はい」が18.1%と5人に1人以下だった。
利用しない理由を質問したところ、「金融機関から提供されていない(41.1)%」が最も多く、「無償で利用できることを知らなかった(40.1%)」「利用方法がわからない(26.4%)」といった、利用者への認知不足と考えられるものや、「インストールに手間がかかる(4.3%)」「端末の挙動が重くなるなど不具合が発生する可能性がある(10.0%)」といった、インストールの手間や動作性の悪さを挙げる人もいた。また、「既に別のセキュリティ対策ソフトをインストールしているため必要ない」と考える人も29.1%と約3割いた。
セキュリティ対策ソフトの出す警告の内容を利用者が判断して操作することの必要性については、「必要(25.2%)」「どちらかと言えば必要(25.2%)」と合わせて、過半数の人が必要と感じていることがわかり、その理由としては、「その程度の手間は安全のためには仕方がない」「何が起こっているかを把握するため」等が挙がった。
一方、「必要ない(6.4%)」「どちらかと言えば必要ない(7.6%)」と答えた人は合わせて14.0%で、その理由は「難しい言葉を並べて警告されるより、手順をわかりやすくして強制的にできるほうがいい」「お年寄りが対応できないから」といったものが挙げられた。
また、インターネットバンキングの利用にあたって、金融機関のセキュリティ対策に今後期待することは、セキュリティの強化、利用者に依存しないセキュリティ対策、必要に応じた適切な情報提供、不正利用による被害の補償などの意見があった。