ウシオ電機は12月3日、LEDから出た光を高効率で平行光に変換する光学技術であるLEDコリメーション技術の開発に成功し、平行光変換効率90%を達成したと発表した。

近年、一般照明用途を中心にLEDの採用が進んでいるが、光強度の高い平行光を必要とするリソグラフィプロセスなどにおいては、UV-LED光源の採用が進んでおらず、産業用途でのUV-LED光源の採用は、平行光を必要としないUVキュアリング(紫外線による接着)やインクの乾燥などに限定されていた。

リソグラフィプロセスで採用が進まない要因として、平行光の光強度を高めるために、光源の輝点サイズ(発光点)を最小化する必要があるが困難だったこと(現行のUVランプは、輝点サイズを数mmレベルの点光源にすることで高輝度化している)。また、LEDは1個当たりの光出力がランプに比べて低いため、ランプと同等の輝度を得るためには複数個のLEDを用いる必要があるが、熱や配線上の問題から一定の密度以上での配列ができず、光源全体としての輝点サイズ(発光点)の縮小化には限界があり、輝度を高くすることが難しいこと。さらに、高輝度化できないため、従来のUV-LED光源の平行光への変換効率は低く、リソグラフィに求められる輝度に達していないことなどが挙げられる。

これに対し、同社では、これまで培ってきたレンズやミラーなどの光学技術をLEDに応用・最適化することで、従来並みのLED実装密度で平行光変換効率90%を実現するLEDコリメーション技術の開発に成功したという。これにより、従来のUV-LED利用光学技術では困難だったリソグラフィプロセスでのUV-LED光源の採用が可能となり、プロセスの低温化、シャッターレスによる装置の小型化、長寿命によるダウンタイムの削減化など、UV-LEDの特徴を活かした多品種少量生産向けプロセス開発や、新たな材料開発などへの応用展開も可能になるとしている。

また、UV-LEDを個別に点灯・調光制御することで、自由な光強度面分布をもたせた照射が可能となり、ランプでは実現できなかった曲面上への均一なインプリント成型など新たな応用も検討されている。さらに、LEDをUV-LEDから可視LEDに置き換えることで、サーチライトやスポットライトといった平行光を必要とする特殊な照明用途への展開も可能で、LEDをRGB3色にして独立にコントロールすることでスポットライトのフルカラー化も実現することができるとコメントしている。

UV-LED光源における、拡散光と平行光の違い(イメージ)