IDC Japanは12月2日、国内モバイル通信サービス市場予測を発表した。これによると、データ通信サービスの売上は堅調な成長を続ける一方で、音声サービスの売上は2006年比で半減。これらの数字を合計した2017年までの年間平均成長率は0.2%で、ほぼ横ばいの予測となっている。
2012年における音声サービスの国内市場規模は2兆5730億円で前年に比べて-16.5%であった。一方でデータ通信サービスの市場規模は4兆740億円となり、12.3%の成長となった。
モバイル通信サービス市場は、高速データ通信サービスのLTEが普及することで2014年までは成長を続けるものの、通信事業者間の価格競争が激化することで市場は収縮するという。
これにより、2017年の市場予測売上額は6兆7150億円となり、2012年~2017年の年間平均成長率は0.2%程度にとどまるとIDCは分析している。
成長率鈍化の要因としては、データ通信サービスの売上が拡大しているものの、音声サービスの売上縮小をカバーできない点が挙げられるという。また、回線数の飽和や市場の寡占化、VoIP/メッセージングサービス事業者やMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)/MVNO(Mobile Virtual Network Operator)、Wi-Fiプラットフォーム事業者との競合も一つの要因であるとしている。
IDC Japanのコミュニケーションズ リサーチアナリストである鳥巣 悠太氏は「将来的に通信サービスを通じて収益を拡大するためには、モバイルキャリアが継続的に多くの資金を投じて構築し長年のノウハウが蓄積している『ネットワークリソースの主導権』を活用することで、コミュニ ケーションサービスにおけるQoS(Quality of Service)活用、IoT(Internet of Things)/M2M(Machine to Machine)時代に向けた対等なパートナーシップの拡大、Wi-Fiインフラとの相互補完の強化などが重要になる」とコメントしている。