日産自動車(以下、日産)は、家庭用の「LEAF to Home」電力供給システムを応用した「Vehicle to Building」システムを開発し、2013年7月より同社の先進技術開発センター(厚木市)にて実証実験を開始していると発表した。

日産自動車 先進技術開発センター(厚木市)における実証実験の様子

今回開発した「Vehicle to Building」は、複数の「日産リーフ」を同時に接続し、オフィスビルやマンションなどの建物に電力を給電するシステム。

「LEAF To Home」は「日産リーフ」からの電力をPCS(Power Control System)を介して単相200Vで家庭へ供給しているが、今回の「Vehicle to Building」では、最大6台の「日産リーフ」を同時に接続し、3相200Vでビルの配電盤へ電力を供給することで、より多くの電気を効率的に流すことが出来る。

大口の電力を使用するオフィスビルやマンションでは、ピーク電力に応じて電力料金が決められているが、本システムは、電力需要がピークになる前に「Vehicle to Building」 を介して「日産リーフ」から給電することで、ピーク時の電力消費をカットし、電力料金の削減を可能とする。

実証実験では、従業員の通勤用「日産リーフ」6台を使用し、電力需要の少ない時間帯は「日産リーフ」へ充電、電力需要の多い時間帯(13-16時)には「日産リーフ」からビルへ電力供給し、ピークカットを実現。更に、従業員の帰宅時間に合わせて「日産リーフ」の充電も行う。

7月より開始した実験では、このように複数のEVの充放電を制御する事で、従業員の通勤利用を妨げることなく、夏期の電力ピークを最大25.6kW押し下げることを可能とした。これは、先進技術開発センターでのピーク時の電力を約2.5%削減し、年間約50万円の電力料金低減効果に相当(東京電力 高圧契約による試算値)する。

今後は、本システムの運用面での課題を更に洗い出し、社外での実証実験へと繋げていく予定。