仏エナジープールデベロップモン(以下、エナジープール)、シュナイダーエレクトリック、双日は、東京電力管内において、産業用デマンドレスポンス(iDR)の実証実験を、2013年11月~2015年3月まで実施すると発表した。

双日が幹事法人、シュナイダーエレクトリックと東京電力が共同事業者、エナジープールがシュナイダーエレクトリックの委託受託者として本事業に取組む。なお、この事業は、新エネルギー導入促進協議会が公募していたデマンドレスポンスに関する「平成25年度次世代エネルギー・社会システム実証事業費補助金の第三次公募」において採択されたもの。

デマンドレスポンス(DR)とは、電気料金価格の設定やインセンティブの支払いに応じて、需要家側が電力使用を抑制するよう電力消費パターンを変化させること。主に夏や冬のピーク電力需要対応を見据えたもの。

今回の実証実験は、東京電力からの要請により、DRアグリゲーターであるエナジープールが、あらかじめ協力を依頼していた東京電力管内の複数工場に電力利用抑制をお願いするというもの。DRアグリゲーターは、電力を抑制した代わりに協力金を受け取り、各工場に分配する。

デマンドレスポンスの流れ

東京電力では、個別企業と契約を結ぶことなく、DRアグリゲーターに依頼するだけで、ある程度まとまった電力使用量の削減が行え、工場側は、個別契約が難しいような少ない電力量であっても、他の企業と合わせることで、抑制した電力に応じて報奨金を得られるメリットがある。

各社の役割

複数の企業の削減電力をまとめ、電力会社の要求量に応える

フランスでは、計画的な電力抑制だけでなく、30分以内という電力会社からの急な要請に対しても応えることができる仕組みができているという。そのためDRアグリゲーターは、どのような日や時間帯でも対応できる数多くの協力企業リストを有することが重要になるという。

今回の実証実験では、欧州のiDRモデルを参考に、日本の電力システム・産業特徴に適したiDRモデルを設計、システム構築を行い、それに基づいて夏場に実際のデマンドレスポンス(電力需要抑制)を実施して、事業化に向けた実現性・成立性を検証する。

具体的には、東京電力はどのような要望を持っているのかを調査し、それに対して、各企業がどのような工夫をすれば、どれくらい抑制可能なのかを検討し、実際にそれが可能かどうかを検証する。

構築するデマンドレスポンスの規模は、20万人以上の家庭における総消費電力に相当する5万kWの予定。

シュナイダーエレクトリック 事業戦略統括部 ディレクター 坂田伸一氏

シュナイダーエレクトリック 事業戦略統括部 ディレクター 坂田伸一氏「DRは、需要にあわせて供給量を変化させるのではなく、供給に併せて需要を変化させようという考え方によるものだ。そのためDRは仮想発電所と呼ばれている。今回構築しようとしているDRモデルは、ヨーロッパと同じモデルになるとは思っていない。現在国内では発電と送電の分離も検討されているが、今後はどのような環境にも対応できるモデルを構築したい」と語った。

また同氏は、急な抑制要請に対しては、大量の電力を消費する金属炉、大型乾燥機、クラッシャーやミルを有する素材産業で、工程をずらしても製品の品質に影響がでない企業が有力だとした。