滋賀県野洲市は11月28日、KDDIへ10月24日付けで提出した「販売改善要望書」に回答があったとして同市ホームページで報告書を公開した。要望書は、KDDIのキャリアショップが消費者に分かりにくい形で様々なオプション契約をさせていた問題に対するもの。
同市は以下の4点について販売状況の改善をKDDIに対して要望していた。
消費者と販売業者との情報格差、物販契約・通信契約等複雑な販売となることに十分に留意し、また、「無料」「タダ」等の言葉の強い誘因性に注意し接客販売をしてください。
接客時、最初に必要最低限の価格を消費者に提示し、最低金額について理解された上で加算方式による接客販売をしてください。
適合性の原則から、タブレット等必要と思えない障害者、高齢者等の消費者に対し、一律的な勧誘を行わないでください。
形式的な重要事項説明書等による確認だけでなく、ひとつひとつの項目に対し、消費者の知識・経験を考慮した丁寧でわかりやすい説明をしてください。
これに対してKDDIは11月25日にKDDI 代表取締役社長 田中 孝司氏の名前で要望書に対する報告書を野洲市へ提出した。
1点目の「『無料』や『タダ』といた誘因性の強い言葉に注意して接客販売を行う」については、「全店舗に対して加入サービスの説明徹底はすでに周知している。また、同事案を教訓として、サービス内容やキャンペーンの条件、それが不要になった場合の退会導線を掲載した書面を11月中に全店へ配備した」と回答。
特に、一定期間利用したあとに有料となるサービスについては「お客様に誤解を与えないよう、店頭での説明を更に徹底していく」としている。ほかに、これまでも契約時の費用や月々の支払いを見積もってタブレットで消費者に提示してきたが「案内に関する注意喚起に加え、改めてタブレットの活用方法も周知徹底を図った」と回答を行っている。
続く2点目の「裁定価格を提示後、加算方式による接客販売」との要望には、「前述のタブレット(による案内)は、消費者が検討しているサービスや契約項目を確認した上で、必要最適元の金額に加算していく方式」と現状を説明。その上で「消費者に契約内容などを理解していただいているか確認する。また、勧めたい商品をあらかじめ設定して提示することのないように注意喚起し、再発防止につとめる」と回答している。
また、3点目の「タブレットなどを必要としない消費者に対して一律的な勧誘を行わない」という要望については、「適合性の原則に配慮した営業活動は事業者団体の自主基準にも定められており、大前提であると認識している。(この点については)KDDIが代理店に対して消費者の事情を度外視するような勧誘を求めたことはなく、今後も求めることはない」と回答。適切な接客と営業活動の実施徹底を周知済みだという。
また、11月7日に一般的な問い合わせ窓口に加えて、「auショップなどにおける購入・契約に関する不明点・質問に特化した専用窓口を新たに設置した。この窓口に問い合わせいただいた案件については、日次で営業部門に報告が入るよう社内体制を整備しており、消費者対応を迅速に行えるようにすると共に、対象代理店への指導も合わせて行えるようにした」としている。
最後の「一つ一つの項目に対して消費者の知識や経験を考慮した分かりやすい説明を」という要望に対しては、「形式的な確認にならないよう、前述の書面やタブレットを適切に利用して消費者それぞれのニーズと利用実態をうかがった上で丁寧で分かりやすいような案内を今後ともつとめる」とした。また、より一層消費者にとってわかりやすい案内となるよう「ショップスタッフの研修の充実や、手続き書面とカタログ、Webサイトの改善を今後も続けていく」との回答を行っている。
KDDIは終わりに「コンプライアンスを遵守した適切な営業活動に向けた徹底指導と、消費者にとって分かりやすい接客となるよう、店頭ツールの適切な取り扱いや費用の提示、案内の内容に至るまで、引き続き改善と再発防止に取り組んでいきたい」とコメントしている。
野洲市は報告書を受けて「誠意のあるご回答」とWebサイトに記載。その上で、「今後の消費者トラブルを防ぐ有効な手立てとして、KDDIをはじめとした通信各社に取り組みが広がることを期待している」とコメントしている。