IDC Japanは11月26日、2012年の国内通信事業者によるセキュリティサービスの市場規模と2017年までの予測を発表した。

発表によると、国内通信事業者が提供するセキュリティサービス市場規模は2012年において前年比10.2%増の2396億円となり、2013年については2012年比で6.9%増となる2561億円と見込んでいる。2012年~2017年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は5.2%、2017年における市場規模は3081億円に達するとIDCは予測している。

2017年の市場規模の内訳は、法人向けセキュリティコンサルティングサービスが28億円(2012年~2017年のCAGR:3.8%)、法人向けセキュリティシステム構築サービスが364億円(同3.6%)、法人向けセキュリティアウトソーシングサービスが1173億円(同5.9%)、法人向けセキュリティ教育/トレーニングサービスが5億円(同2.8%)、個人向けサービスが1511億円(同5.0%)になるという。

同社では、「今後、スマートデバイスの急速な利用拡大に伴って、法人市場、個人市場ともエンドポイントのセキュリティサービスの普及が見込まれ、また、特定の企業を狙った標的型攻撃などに対応するために、大企業や官公庁を中心に、高度なセキュリティ技術を持つ事業者へのアウトソーシング意向が高まり、通信事業者のセキュリティサービスの売上げも増加する」としている。

一方、サイバー攻撃による情報漏えい事件がメディアを賑わせても、当事者意識を持ってセキュリティ投資額を増やす企業は少数派という、外部からの攻撃に対する企業の危機意識の低さが、市場の成長率を妨げる要因になっていると考えられているとIDCは分析。また、通信事業者の多くは大企業市場の飽和から中堅企業層に目を向けるようになっており、セキュリティに関しても中堅企業層の顧客開拓を強化していくものとみている。

今回の発表について、IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの小野 陽子氏は「国内通信事業者によるセキュリティサービス市場は、スマートデバイスの利用拡大、標的型攻撃への対応などに伴い堅調に拡大するであろう。大企業を主なターゲットとしてきた通信事業者は、中堅以下の企業層への営業を強化しており、SaaS型セキュリティサービスなどこの層のニーズにフィットするセキュリティ商材を拡充すべきである」とコメントしている。