ルネサス エレクトロニクスは11月26日、車載情報機器向けSoC「R-Car H2/M2」対応の地上デジタル放送受信用ミドルウェアとして、ISDB-T(Integrated Service Digital Broadcasting-Terrestrial)方式に対応したミドルウェアを開発したと発表した。

近年、車載情報機器は、カーナビゲーションなどの単機能製品から、スマートフォンに代表されるクラウドなどのIT技術との融合や、車載カメラによる周辺監視などの安全に向けた機能の統合が進み、より一層の高機能、高性能なマルチメディア機能が求められている。このため、システムを実現するためのソフトウェアの開発難易度が上がり、開発費の高騰や、開発工期の長期化、製品品質維持の難しさなどが課題となっている。

そこで今回、車載情報機器向けSoC「R-Car H2/M2」に対応した地上デジタル放送受信用ミドルウェアを、車載情報機器向けの地上デジタル放送視聴受信システムが容易に構築できるソリューションとして提供を開始する。

同製品は、「R-Car H2/M2」に搭載されたビデオ画像処理(合成、拡大・縮小、IP変換などの機能)のハードウェアを専用ドライバソフトにより効率的に制御することで、SoCの性能を最大限に引き出すように最適化されている。これにより、ユーザーのシステムから複雑なハードウェア制御を行うことなく、地上デジタル放送の視聴システムを構築できる。

さらに、車載情報機器に必要となる強固なエラー耐性機能を搭載。TV放送の受信状態が悪い場合でも、映像や音声をできる限りスムーズに出力できるように、欠落したデータを補うコンシール処理を用いた映像補完処理や、音声ノイズを低減するためのフェード処理を備えている。これにより、走行時に受信状態が悪化した場合でも、スムーズなTV視聴環境が実現する。

また、車載機器では、2画面出力や複数アプリケーションの同時動作など、マルチメディア機能の高機能化に伴い、高負荷環境においても安定的に動作するシステムの構築が求められている。そこで、ハードウェアを制御する命令データと映像・音声などのメディアデータのバス帯域を分割・管理する制御フローを採用、安定的な地上デジタル放送視聴システムの構築に寄与するという。加えて、映像の高画質化といった性能面の要望に対しては、映像画質を劣化させる縮小処理を極力排除した制御フローを実現した。ユーザーのシステムからこれらの制御フローを動的に選択することで、様々なユースケースに対応した製品開発が可能となる。

この他、2013年春から全国の放送局で運用が開始された、ICカード(B-CASカード)を用いないコンテンツ権利保護専用方式(ARIB標準規格 STD-B25第3部)準拠の限定受信方式に対応しており、従来のB-CASカード方式だけでなく、ユーザーの柔軟なシステム開発に寄与する。

なお、同製品は、12月よりサンプル提供を開始する。今後は、海外のデジタルTV放送規格に対応したミドルウェアを展開する計画とコメントしている。