国立情報学研究所(NII)と富士通研究所は11月25日、共同で進めている人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)」において、人工知能「東ロボくん」が代々木ゼミナールの代ゼミ模試に挑戦し、文系・理系とともに偏差値約60の成績となったと発表した。

東ロボプロジェクトは、NIIの新井紀子教授を中心に、1980年以降細分化された人工知能分野の研究を再び統合することなどを目的に2011年より開始したもの。2016年までに大学入試センター試験で高得点をマークし、2021年に東京大学入試を突破することを目標としている。

数学を担当している数学チームによると、数学の入試問題をコンピュータが解くことで重要なのは、問題文をコンピュータが計算プログラムで実行可能な形式に変換し、プログラム(ソルバ)で問題を解くことで、そのためには「言語理解・意味解析」「論理式の書き換え」「推論系・計算処理」の3つが重要だという。

今回東ロボくんは、代ゼミの全国センター模試(数IA、数IIB)と東大入試プレ(文系、理系)の両方を受験。自動求解の結果、東大入試プレで文系は4問中2問完答、理系は6問中2問完答となり、文系理系とも偏差値は約60。問題の一部を理解することができないなどのトラブルで、人の手助けが必要となる場面もあったという。

今回の受験では東ロボくんの知らない単語が見つかるなど、さまざまな課題が明らかになったという。今後は、自動求解の計算にかかる時間を短縮や、まだ取り組めていない単元の問題への対応を進めていくとしている。

なお、数学チームの取り組みについては、人工知能学会の2013年度全国大会論文集の「深い言語理解と数式処理の接合による入試数学問題解答システム」および「数式処理による入試数学問題の解法と言語処理との接合における課題」に紹介されている。

東ロボくんの東大模試の答案用紙のサンプル