筑波大学と理化学研究所らの研究グループは11月19日、受粉しなくても実がなる新しいトマトの品種(単為結果性トマト)を開発し、特許を出願したと発表した。

従来のトマト栽培では、農家がホルモン処理をしたりハチを使ったりして受粉させているが、このときにかかる労力はトマト栽培全体の約20%になるという。研究者や農家は以前からホルモン処理のいらないトマト品種の研究しているが、果実が軟化しやすい、劣果しやすいといった不要形質となり、大規模生産する普及品種にならなかったという。

今回研究チームは、トマト品種マイクロトムの大規模変異体集団(1万系統以上)を栽培し、その中から新たな単為結果変異体を発見したほか、その遺伝子を明らかにした。この新規の育種素材を活用することで、不良系質を伴わない単為結果トマト品種「夢のらくらくトマト」の開発することが期待できるという。

今回の成果を受け、筑波大学は、遺伝子同定の終了していない他の単為結果変異体の原因遺伝子同定を進め、理化学研究所はこの育種素材の詳細な成分分析を進めるという。

上は現状のトマト生産の課題、中は今回の研究による成果、下は今後の展開