三菱電機は11月21日、近未来のクルマに求められる環境、安全、快適を高度に実現するコンセプト電気自動車(EV)「EMIRAI 2」を開発したと発表した。
今回、「EMIRAI 2」として、操縦性と安全性を向上させるパワートレイン系コンセプトカー「xEV」、および運転時の安全・安心、快適・便利を向上させる運転支援系コンセプトカー「xDAS」の2つを開発した。
パワートレイン系コンセプトカー「xEV」は主に3つの技術を有する。このうち、「高精度トラクションコントロール」は、タイヤの駆動が伝わりにくい雪道などの路面で、安全な自動車走行を実現する。EVは、1msecごとの速さでモータトルクを管理することで、タイヤの滑りを検出できる。タイヤのスリップ量を検出しスリップ量に応じて最適なモータ出力をきめ細やかにコントロールすることで最適な駆動力を維持する。なお、タイヤが滑っているという情報(トラクションコントロール発生時)はインテリジェントインフォーメーションパネル(IIP)にサインが表示される。
「スムーズG(加減速)コントロール」は、運転者の発進操作時や追い越しなどの加速運転時に、運転者の意図通りの加速感を実現するために用いられる。EVは、予期しない振動を検出して制御を滑らかにすることが可能であり、モータトルクが増加することで発生する自動車の振動を検知し、自動車の振動を打ち消す方向にモータトルクを制御し、不快な振動をキャンセルできる。また、モータトルクの立ち上がりを自動車の構造的な特性に合わせて滑らかに制御することで、心地の良い加速感を運転者に提供する。
「低速段差通過コントロール」は、段差があるような路面においても速度を一定に保つ必要がある状況下で用いる。EVは、内燃機関車で困難な一定速度での走行ができる。段差のあるコインパーキングへの駐車や勾配がある場所での走行時に、段差などに対してモータ出力トルクを瞬時に変化させることで、余分なアクセル操作やブレーキ操作が不要になり、決められた位置に車両を制御することが容易になる。
運転支援系コンセプトカー「xDAS」は、"クルマが人に調和する"をコンセプトに開発された。ドライバーの個性と走行状況に応じて、複数のディスプレイの形状と表示コンテンツをシームレスに変化させ、必要とする情報を視線移動を減らして分かりやすく表示するIIPを搭載している。走行状況に応じて3枚の可変型ディスプレイの形状とフロントガラス HUD(ヘッドアップディスプレイ)の表示内容が変化して表示する。停車時にはナビ、音楽、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)といった様々な情報を、走行時には運転の妨げにならないように運転に必要な情報のみを表示する仕組みなっている。また、ドライバーに応じて、パネルの表示内容を変化させるHMIを採用。クラウドコンテンツとの同期やパネルの着せ替え機能により、好みのインテリア空間を提供する。
さらに、クルマを取り囲む膨大な情報の中から、ドライバーにとって危険性が高い情報や、ドライバーが欲している情報を抽出して、ドライバーの視線に応じてIIPに提示。「統合型イメージセンシング」では、クルマに近づく危険をカメラで検知し、フロントガラスHUDに表示する。視線センサでドライバーの気づきを判定し、危険性が高い情報を優先的に知らせる。また、「あれ何?サーチ」では、視線センサ情報と高精度自車位置情報からドライバーが見ている施設を特定して検索し、フロントガラスHUDと合成音声でドライバーに通知する。助手席に"あれ何だろう?"と話しかけるように、車両前方を見たまま簡単、安全に欲しい情報を得ることができる。
この他、ドライバーの行動を先読みした操作の提案と、音声・手書き文字入力により、簡単・安全・直観的な操作を実現するナチュラルユーザーインタフェースを搭載する。「レコメンドメニュー」では、機器の操作履歴や走行状況(時間帯、道路状況など)から、その時々に最適なドライバーの希望操作を3つのメニューに絞り込んでIIPに表示。ハンドル上の3つのボタンに対応するメニューに選択でき、簡単・安全な操作に寄与する。「スマートハンドル」は、ハンドルに自由曲面対応のタッチパネルを搭載したハンドル型操作デバイス。カーソル操作や手書き文字入力などの直観的な操作性と自由曲面によるデザイン性の高さを両立している。