EMC ジャパンは11月21日、オールフラッシュススケールアウトアレイ「EMC XtremIO」の国内提供を開始すると発表した。同製品は、2012年5月に米EMCが買収したイスラエルXtremIOの技術を活用したもの。EMCブランドでは今回が初めてのリリースとなる。
EMC ジャパン ソリューション部 シニア・システムズ・エンジニアの笹沼伸行氏 |
EMC XtremIOは、1ビルディングブロック(X-Brickと呼ばれる6Uの筐体)あたり10TBの物理容量を備えたフラッシュストレージ。現在のところ最大4ブロックまでをクラスター化可能で、独自技術によりパフォーマンスおよび容量をリニアにスケールできるという特長を備える。
発表会に登壇したEMC ジャパン ソリューション部 シニア・システムズ・エンジニアの笹沼伸行氏は、同製品に備わる技術について、「パフォーマンス」と「ストレージ効率」の2つの側面から説明した。
パフォーマンスに関しては、1ビルディングブロックあたり2台搭載されるコントローラをInfiniBandで接続し、40GbpsでRDMA(Remote Direct Memory Access)通信する。複数のビルディングブロックで構成する場合、各ビルディングブロックを束ねるスイッチを1台設置することになるが、ビルディングブロックとスイッチ間もインフィニバンドでRDMA通信する仕組みであるため、台数に対してパフォーマンスをリニアに増加させることが可能という。
「1ビルディングブロックでは、読み込み処理で最大25万IOPS、読み込み/書き込み処理で最大15万IOPS。4ビルディングブロックでは、読み込み処理最大100万IOPS、読み込み/書き込み処理最大60万IOPSを実現できる」(笹沼氏)
一方、ストレージ効率で核となるのは、「インライン重複排除」と特許を取得した「XtremIO Data Protection(XDP)」の2つの技術だ。
インライン重複排除は、コントローラのメモリ上で全データをリアルタイムに重複排除するというもの。受け取ったデータをその場で4KBのブロックに分けて重複チェックを行い、重複排除後のデータのみをSSDに書き込む設計になっている。最大物理容量40TBのXtremIOだが、利用分野によっては論理物理容量が250TB超になるほか、SSDへの書き込み回数を減らせるため、パフォーマンス向上、SSDの寿命を延伸いう利点もあるという。
XDPは、「RAID1、RAID5、RAID6のいいとこどりした」(笹沼氏)ようなデータ保護技術。独自のパリティ方式により、オーバーヘッド容量8%と非常に高い容量効率を実現しながら、RAID1を上回るパフォーマンス、RAID6以上の信頼性を確保している。ホットスペアが不要にも関わらず、最大25個搭載可能な1台のX-Brickのうち同時に6個のSSDが故障してもパフォーマンスを落とさずに稼働できるという。
その他、発表会では、すべてのSSDとコントローラーに均等にデータブロックを分散できること、シンプロビジョニングが自動的に採用されること、シンプルなUIで管理が容易であること、VMwareのVAAI APIを完全サポートし、EMC VPLEXとシームレスに統合することなども紹介された。
XtremIOの価格は3726万2500円~。11月21日より販売/出荷が開始される。なお、2014年第1四半期には20TBのオプションの提供が開始される予定。