アドバンテストは11月19日、独自の電子ビーム走査技術を用いてマスクやパターンドメディアの微細パターン寸法を高精度に測定できる、最新の多次元観察・測長走査型電子顕微鏡(MASK MVM-SEM)「E3640」を発表した。

スマートフォンなどの活況を背景に、半導体の微細化を求める声が高まっている。これを受けて、1Xnmノードによる量産が今後予定されており、マスク開発や量産工程においても、微細な回路パターン寸法を高精度かつ安定的に測定評価することが一層重要となっている。また、EUVマスクやNILなどへの対応も求められている。

同装置は、新型電子光学レンズと信号処理系ハードウェアを一新し、従来機に比べ測定再現性能を大幅に向上させている。これにより、次世代の1Xnmノードマスクプロセスの開発や生産評価が可能になった。また、「E3600」シリーズのソフトウェアと完全互換のため、過去のソフトウェア資産を有効活用することができる。

現在、半導体プロセスではパターンの微細化に伴い、マスクパターンをウェハ上にそのまま転写することが難しくなり、マスク側での補正が必要になっている。「E3640」は、フォトマスク上のパターン形状から、ウェハ上に形成されるパターン形状を予測するシミュレーション露光アプリケーションとリンクさせることで、マスクパターンの補正作業の効率を高めることができる。

さらに、EDAツールとリンクさせ、測長したい場所の情報(座標やパターン形状)をEDAツールから取り込むことが可能。これにより、ホットスポット(マスク側での補正が困難な微細かつ複雑なパターン)部分のより正確な測定が可能になり、マスク開発のスループットの向上に寄与する。

この他、従来機種「E3630」と同様、複数の検出器を並列したマルチディテクタ構成と独自の計測アルゴリズムにより、パターンの幅、高さ、側壁角度をリアルタイムで3D観察および3D計測することができる。

なお、販売開始は2014年6月頃を予定している。

アドバンテストの1Xnm世代向けMASK MVM-SEM「E3640」