地球の大気中における主要な温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素)の平均濃度が昨年に過去最高値を記録したと、気象庁が発表した。気象庁は世界気象機関(WMO)の「温室効果ガス世界資料センター」を兼ねている。

それによると昨年の二酸化炭素(CO2)の世界の大気中の平均濃度は393.1ppm(1ppmは100万分の1)で、前年よりも2.2ppm増加した。メタン(CH4)は1819ppb(1ppbは10億分の1)で、前年より6 ppb増加した。一酸化二窒素(N2O)は325.1ppbで、前年より0.9ppb増加した。いずれの増加量も、それぞれ過去10年間の年平均値を上回った。

二酸化炭素は、数年以上も大気中に長く留まる「長寿命温室効果ガス」のうち、温室効果の度合い(放射強制力)が最も強く、全体の約64%を占める。産業革命以前の1750年の大気中濃度(約278ppm)に対し、2012年は141%に達した。

メタンによる温室効果の度合いは18%程度だ。大気中のメタンの約40%は湿原やシロアリなどの“自然起源”で、約60%が反芻動物や稲作、化石燃料の採掘、埋め立て、バイオマス燃焼などの人間活動による“人為起源”だ。メタンの大気中濃度は1980年代前半には年13ppbのペースで増加したが、99年から2006年まではほぼ横ばいだった。しかし07年以降は熱帯と北半球の中緯度地方からの排出によって再び増加し、12年は1750年の大気中濃度(約700ppb)の260%に達した。最近の増加傾向については、人為起源か自然起源かを特定するのは難しいという。

一酸化二窒素による温室効果の度合いは約6%を占める。大気中への放出は、海洋や土壌などからの自然起源(約60%)と、バイオマス燃焼や施肥、各種の工業過程などの人為起源(約40%)による。工業化以前の1750年の大気中濃度(約270ppb)よりも、2012年は20%増加した。

長寿命温室効果ガスにはさらに、オゾン層破壊物質のフロン12やフロン11といった「クロロ・フルオロ・カーボン(CFC)」類などもあり、他のハロゲン化物と合わせると約12%の温室効果の度合いをもつ。大気中のCFC類は減少しているが、同様に強力な温室効果ガスのハイドロCFC類やハイドロ・フルオロ・カーボン(HFC)類が、総量は少ないものの、90年代後期ごろからppt(1兆分の1)レベルで急増傾向にある。