エアーと日立システムズエンジニアリングサービスは11月20日、メールアーカイブソリューション「WISE Audit(ワイズ オーディット)」のバージョン6.0をリリースしたと発表した。
新版の最大の特徴は、米国の法制度「e-Discovery(電子証拠開示手続き)」に対応した「eディスカバリオプション」の提供を開始したこと。「EDRM(The Electronic Discovery Reference Model : 電子情報開示参考モデル)」と呼ばれるe-Discoveryの標準的なワークフローをスムーズに進められる機能が取り込まれており、有事の際には、作業を大幅に簡略化できるうえ、公開情報を必要最小限にとどめられる。また、ユーザーの活動を監視する機能も用意されており、平時においても訴訟リスクを抑えられるといった効果が見込めるという。
エアー 常務取締役 プロダクト事業部長の森剛氏は、「WISE Auditの大きな特徴の1つに、圧縮されアーカイブされたメールデータに対して高速に検索をかけられる点がある。eディスカバリオプションでは、その機能をさらに洗練させ、e-Discoveryに対応させている」と説明する。
例えば、独占禁止法で訴訟を起こされた場合、企業では、「訴訟ホールド(訴訟対象期間の情報保全)」の設定をしたうえで、監査人や法律事務所とコミュニケーションをとりながら、関連メールの絞り込み、絞り込んだメールのレビュー、提出レポートの作成などの作業が必要になる。
この際に、eディスカバリオプションを使用すれば、アーカイブメールの自動削除停止や管理者への警告メール送信が行えるほか、関連メールの絞り込みにおいて、アーカイブから直接検索できるうえ、弁護士とのやりとりなどの「秘匿特権文書」を検索対象から除外することも可能。さらに、対象となりそうなメールにフラグを立てたりコメントを付けたりする機能や、関連アカウントのメール相関図をビジュアルに表示する機能も組み込まれており、レビュー作業の負荷を大幅に軽減することができる。そのほか、改竄されていないことを証明するレポートを出力する機能なども提供されており、訴訟を円滑に進られるという。
「普段から気にしている企業は少ないかもしれないが、データを保全できる環境が整っていなければ、独占禁止法訴訟の際に全ユーザーのPCが差し押さえられてしまい、業務が止まるということも考えられる。また、e-Discoveryでは、弁護士とのやりとりは開示する必要がないとされているが、メールデータを精査できる環境がなければ、そういった情報を出してしまうことにもなりかねない。何かが起こって初めて対応したのでは、作業時間もコストも膨大になってしまう」(森氏)
EDRAMに沿ったeディスカバリオプションの導入効果(WISE Audit 6.0のWebサイトから) |
そのほかeディスカバリオプションでは、価格カルテルなどの予防向けに、監視・監査機能も用意されている。具体的には、特定のキーワードを登録できる「要注意キーワード監視」機能、キーワードで定期的に自動検索し、抽出されたメールを担当者に割り振る「インシデント管理」機能、担当者が問題のメールにフラグを立てたりコメントを記入できる「監査」機能、監査結果を基に自動で定期的にレポートを作成する「定期報告」機能などが挙げられている。
価格は、WISE Auditが120万円~(税別)、eディスカバリオプションが24万円(税別)。なお、WISE Auditはクラウド型メールサービスにも対応しており、Google AppsやOffice 365からメールを抽出してアーカイブすることもできる。