シスコシステムズは11月19日、11月6日(現地時間)の米国での発表を受け、国内で「アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)」を説明した。
ACIは、ITのすべてのコンポーネント パーツ(ネットワーキング、ストレージ、コンピューティング、ネットワーク サービス、アプリケーション、セキュリティ)を統合し、単一の動的なエンティティ(単位)として管理することを目指したもの。
インシエメ ネットワークス ディスティングイッシュド エンジニア ブラッド・ウォング氏は「ACIはAWSのような環境を目指したものだ」と述べた。
つまり、リソースやアプリケーションの状態を常に監視し、負荷状況に応じて、自動プロビジョニング、負荷分散、自動スケールなどを行う。
ACIは、「Cisco APIC(Application Policy Infrastructure Controller)」、データセンター スイッチ「Cisco Nexus 9000シリーズ」、オペレーティング システム「NX-OS」の強化バージョンから構成される。
Cisco APICは、クラスタ化ソフトウェア コントローラーで、SDNコントローラーのような役割を果たす。Cisco APICは、SLA、QoS、セキュリティ、ロードバランシングなど、アプリケーションの要件と基盤インフラストラクチャとの相互依存関係を定義したアプリケーション ネットワーク プロファイルにしたがって、ネットワーク、サービス、ストレージ、セキュリティを動的にプロビジョニングする。
同社によれば、Cisco APICは、スイッチデータとコントロールプレーンから独立して機能する点が従来のSDNコントローラーとは異なるという。
また、Cisco APICを制御するため、Northbound APIを公開するほか、サードパーティ製のネットワーク製品をCisco APICを介して制御できる、オープンソースのSouthbound APIも提供する。
ACIに賛同する企業には、BMC、CA Technologies、Citrix、EMC、Embrane、Emulex、F5、IBM、Microsoft、NetApp、OpsCode、Panduit、Puppet Labs、NIKSUN、Red Hat、SAP、Splunk、Symantec、VCE、VMwareなどが存在する。
米Cisco シニアバイスプレジデント グローバルデータセンター/バーチャライズセールス フランク・パロンボ氏は、「市場は仮想化に対して過剰な期待があるが、物理環境やメインフレームなど非仮想化環境もまだ多くある。今後はさまざまな仮想化環境をサポートするとともに、物理やクラウド環境も考慮していくことが必要だ。ソフトウェアでネットワークを仮想化するSDNも重要だが、ソフトウェアに加えて、ハードウェア、ASIC、マネージメントをすべて一緒に考えていくことが重要だ」と、ACIを提供した背景を説明した。
Nexus 9000シリーズには、モジュール型と固定の1/10/40 Gigabit Ethernetスイッチ構成があり、スタンドアロンNX-OSモードとACIのどちらでも動作できるように設計されている。
ネットワークは、ファイアウォール、アプリケーション配信コントローラー、侵入検出システムなどの物理、仮想のL4-7ネットワーク サービスの動的な挿入や追加を行う。また、Hyper-V、RedHat KVM、VMware vSphereの仮想環境に対応し、物理、仮想全体でのテナント単位、アプリケーション単位の正常性、統計情報、トラブルシューティングの完全なリアルタイム ビューを提供する。
Nexus 9000シリーズには、10/40GbEアグリゲーション レイヤ配備に合わせて設計された、8スロットのコンパクトな13 RUフォーム ファクター シャーシの「Cisco Nexus 9508スイッチ」、ToR(トップオブラック)と、MoR(ミドルオブロー)配備に合わせて設計された固定スイッチ「Cisco Nexus 9300スイッチ」、 48×固定10GE SFP+ポートと、12×40Gbps QSFP+ポートを搭載した960Gスイッチ「Cisco Nexus 9396PXスイッチ」、 96×固定1/10GBASE-Tポートと、8×40Gbps QSFP+ポートを搭載した1.28Tスイッチ「Cisco Nexus 93128TX スイッチ」がある。
また、2014年前半にCisco Nexus 9000スイッチファミリを拡充し、4スロットおよび16スロット システムと、追加のToRスイッチを投入する予定だ。
ブラッド・ウォング氏は、「Nexus 9000シリーズにの特徴として、コスト、パフォーマンス、ポート密度、プログラマビリティ、電力効率の5つがあると説明。
コストでは、カスタムシリコンだけでなく商用シリコンを利用することで、コストを50%削減し、10Gのコストで40Gを導入できるとした。
パフォーマンスは、スロットあたり1.92Tbpsで、ポート密度は、競合製品との比較で20%高いノンブロッキング ポート密度を実現したという。
プログラマビリティでは、JSONN/XML APIにより、既存のネットワーク自動化ツールやオープン ソース コミュニティが推進するACI拡張(OpenStack、Open Daylight、仮想スイッチ、VXLANなど)との緊密な統合を実現する。
そして、電力効率では、バックブレーンフリー設計により、消費電力と冷却効率を15%改善したという。