富士ゼロックスは11月19日、ベトナム・ハイフォン市で新生産会社「Fuji Xerox Hai Phong Co.,Ltd.(以下、富士ゼロックスハイフォン)」を稼働することを発表した。同社が約90億円を投資し、2012年8月に設立した新会社は2015年度末までにフル稼働を予定しており、同社のアジアにおける生産ハブとして、全世界に向け商品を提供する。
同社が、アジア各国の中で生産拠点としてベトナムを選んだ理由は、工業化に向けて堅実な成長を続けており情報機器などの産業が集約しつつあり、中国やタイ、ASEAN各国と広域陸送網で結ばれ、サプライチェーンが組みやすいといった利点があるため。
またハイフォン市はベトナム第3の都市であると同時に、北部最大の港湾都市でもあり、現在、工業地域化を進める都市開発プロジェクトが進められ、さらなる発展が期待される。
富士ゼロックスハイフォンは、グローバル市場の需要拡大に対応すべく、デジタルカラー複合機、小型LEDプリンタのほか、これらのデバイス用のプリント基板やドラムカートリッジ用部品などの基幹部品を生産、生産能力は年間約200万台。
同社は生産の効率化とリードタイムの短縮を実現するため、開発と生産のプラットフォーム化を推進し、複数機種に使用可能な共通モジュールを開発することにより、同一ラインで複数機種を生産する予定。また、「Built by Market」のコンセプトに基づき、工場出荷前の最終工程、設置先に近い流通倉庫、あるいはエンドユーザーでの設置時といった場で固有の仕様を商品に追加することにより、多様な要望に対応、部品生産と商品組立ラインを垂直統合して生産を同期させることにより、生産効率の向上も図る。
さらに全生産拠点共通の生産管理システムで生産プロセスに影響を与えるさまざまな状況に迅速に対応、分散生産体制を確立するため、他の生産拠点との生産設備や冶具の共通化を加速させる。
新生産拠点は、環境への影響を考慮し、工場棟の屋根にて集水した雨水の屋根散水により空調の負荷を低減したり、工場外部の照明器具には風力・太陽光発電を併用したハイブリッド型、工場棟・事務棟にはLED照明を採用し、消費電力を削減することで環境に配慮。また、地元パートナーとの協力関係を育み、地域社会や地元産業に貢献していくことも目指している。