ルネサス エレクトロニクスは11月19日、高精度分解能が必要とされる流量計測、圧力計測、電力計測に最適な16ビットΔΣ型A/Dコンバータ(ADC)を内蔵したアナログIC「Smart Analog IC101」を発表した。
近年、民生や産業、医療をはじめとした各種機器でセンサの搭載が進んでいる。例えば、多くのエネルギーを消費する製造工場においては、工場単位でエネルギーを最適化してコスト低減とCO2排出抑制を達成するため、次世代エネルギー管理システムFEMS(Factory Energy Management System)の構築が加速しており、高精度なセンサシステムが必要とされている。しかし、水や油、ガスの流量、圧力といった各種センサには、測定対象を微量なレベルで検出することが求められるため、より高精度なアナログフロントエンド(AFE)の開発が必要とされており、開発コストおよび開発期間の増大が課題となっている。また、温度変化をはじめとする環境変化に応じて、AFEの設定を柔軟に調整したいという要望もある。
同製品は、16ビットΔΣ型ADCの他、1~32倍(10段階)の設定が可能なプログラマブルゲイン計装アンプ、回路内にセンサ入力のオフセットを調整可能なD/Aコンバータ(DAC)を内蔵。プログラマブルゲイン計装アンプと16ビットΔΣ型ADCでS/N比86dB(@3.9ksps)を実現している。また、出力インタフェースはSPIに加え、UARTによる通信もサポートしているため、様々なマイコンをホストマイコンとして選択できる。
さらに、従来の「Smart Analog」シリーズでは、システム起動時にAFEの回路設定情報をマイコンからSPI通信によって設定する必要があったが、同製品はIC内に256バイトのフラッシュメモリとシーケンサを内蔵した。これにより、任意のAFE初期設定の値を元に、起動時に外部からの設定なしにセンシング動作を開始することが可能となったため、従来製品に対して約5倍の高速起動が可能となった。
この他、動作温度範囲の最高温度が、従来の105℃から125℃まで対応可能となった。また、プログラマブルゲイン計装アンプの外部入力は4本で、それぞれチャネルごとに差動入力かシングルエンド入力が選択可能、かつ内部入力として内蔵温度センサも選択可能となっている。さらに、センサ出力のA/D変換結果をUART通信にてホストマイコンへ連続して出力し続ける、連続変換出力モードを備えているため、アナログセンサのデジタル化を簡単に実現できるセンサノードを提供できる。加えて、1.2~2.2Vの出力範囲で使用可能なセンサ用の電源回路も内蔵しているため、幅広いセンサシステムへの応用が可能となっている。
「Smart Analog IC」を制御するマイコンを含めたソフトウェア開発環境としては、同社の統合開発環境「CubeSuite+」とオンチップデバッキングエミュレータ「E1」がラインアップされており、AFE設定用GUIツールと合わせ、容易にシステム制御などのプログラム開発が可能となり、センサ向けのシステムソリューション開発において、コスト削減の他、開発期間を約6か月短縮できるとしている。
なお、パッケージは4mm角の36ピンFPBGA。サンプル価格は500円。2014年1月よりサンプル出荷を開始し、2014年10月より量産を開始する予定。