独Dialog Semiconductorは11月15日、都内で会見を開き、同社が11月11日に発表したプログラム可能なLEDドライバICプラットフォーム「smarteXite」に関する説明を行った。
同製品ファミリの第1弾製品となる「iW6401」は、単純な主電源オン/オフ切り換えによるデジタル調光、欧州を中心に立ち上がりつつあるLedotronデジタル調光プロトコル(Ledotron IEC 62756-1調光プロトコル)、トグルスイッチベースの調光などの調光インタフェースをサポートしており、これらの調光曲線を最適化し、プログラムしてメモリに保存することが可能である。
また、I2Cインタフェースを採用しており、主電源の切り替え制御に加え、ローパワーBluetooth(Bluetooth SMART)、Wi-Fi、ZigBeeといったワイヤレス通信モジュールとして活用することが可能なほか、カラー検出または近接感知が可能なインテリジェントセンサとの直接接続も可能となっている。
こうしたワイヤレス技術を活用した調光も可能で、例えばBluetooth 4.0対応スマートフォンを用いて操作した場合のRx/Tx(送受信時)は5mA、待機時5nAの消費電力で駆動できるほか、LED/調光装置アセンブリ間はRF出力電力0dB(アンテナ)で、-93dBmの感度を実現しているため、高信頼度の通信を行うことが可能だという。
組み合わせて用いられるOTP(One Time Programable)メモリにはLEDの電流と電圧、コントローラの動作特性、しきい値、信号タイミング、熱制御、調光曲線、オン/オフ機能セットなどを保存することが可能。これにより、ハードウェアに変更を加えることなく、プログラムだけで要件に応じて自在に変更をすることが可能となるため、製品が完成した後でメーカー定義を見直すことができるようになったり、製品の仕様変更を容易に行うことが可能になるという。
また、1チップでほとんどのことができるようになるため、BOMコストとしては、従来ソリューション比で25~30%削減することが可能になるという。
Dialog SemiconductorのVice President,Development & Strategy and GM Power Converson Business Group(PCBG)を務めるMark Tyndall氏は同製品について、「2013年7月にシリコンバレーに本拠を持つiWattを買収したことで得た技術を活用しており、LEDドライバのほかにも携帯充電器向け高速充電用A/Dコンバータ(ADC)などへの展開も進めている」とする。また同氏は、日本は重要な地域と表現。単純に家電系のカスタマが多いというだけでなく、そうしたカスタマからニーズを吸い上げ、実際の製品に入れ込むための研究開発部門やサポートチームなども配置しているという。
「これまで日本のカスタマは家電向けが主だったが、同製品を提供することで、照明機器ベンダなど、新たなカスタマの獲得を期待することができるようになる」としており、「すでに米国のLED電球は10ドルを切るまで値段が下がってきているが、日本はそれに比べてまだ高い。我々の技術を活用してもらうことで、日本のLED電球の価格低減が推進され、それによる事業の拡大を図っていきたい」と日本市場での成長が自社の成長につながっていくことを強調した。
なお、同製品の量産開始時期は2014年前半が予定されているほか、同社では同製品のパフォーマンスを改善し、調光のスムーズさや信頼性などをさらに向上させた次世代品の開発も進めているとしている。